No. 弐 朔日の夜
返り血を浴びたタクシーのワイパーが動く、まるで降水量が多い雨の日のように。しかし、窓についた血は引き延ばされる。
「ちっ...これじゃ余計見えねぇじゃねぇか...はぁ、しゃーない降りるか。」
タクシー運転手は車のエンジンを切り、口にタバコを咥えつつタクシーを降りる。そしてタバコに火を付けながら、死体のある車の先に目をやる。
すると目の前には死体の代わりに、一般男性が丸々入るサイズくらいの光の球体ができていることに気が付いた。
「あ〜こりゃあダメっすわ
「フッ...この程度で消えるのならばとっくの昔に消しているさ。
しかし、まぁ俗に言う "ぐっじょぶ" と言う言葉を今、君に捧ぐよ。」
辺りにはタクシー運転手以外人影はないなか、まるでもう1人話し相手がいるかのようにタクシー運転手は喋る。
「ありがとうございます。さっ、僕もそろそろ準備を始めますかねぇ。」
営業スマイルを誰にする訳でもなくニヤッと笑い、タクシー運転手は屈伸と伸脚をし始めた。
なんとなく準備体操も終わり腕をポキポキ鳴らしていると、目の前にある光の球体が徐々に小さくなっていくのが分かった。
しかし球体はあるところまで小さくなると今度は人型に変形していきそこから1人の男の子が形成されていった。そう、その男の子こそ武陽景藏なのである。
そんな光の球体から出てきた景藏を観てタクシー運転手はニヤリと笑った。
「これは、これは、夜分遅くにすみません。アマテラス様の
景藏は胡散臭いタクシー運転手の話を聞き流しつつ、自分の体の中にいる天照様に話し掛ける。
「アマテラス、あいつか?」
「待てケイゾウよ、このままだと近くに住む者の迷惑になる。少し準備が必要じゃ。」
「分かった、手短に頼む。」
すると景藏の背中が急に光だし、光はまるで液体のように動き始めた。
光は景藏の体から一度下に降りそこから上へ浮上し巨大な人の形を作り出す。
次第に顔の形がくっきりと作られ、天照大御神が形成された。
「フフフッ...では始めるぞ」
天照様は右手を下に伸ばすとそこに扇子が現れそれを握る。
そこからくちの前で扇子を開き、にやりと一瞬笑ってから
扇子を閉じつつ、前に向けた。
「一里。」
そう天照様が発言すると、瞬く間に半径約4km圏内が黄金色に包まれた。
「これで大丈夫じゃ。たくさん暴れて良いぞケイゾウよ。」
「グララララッララアああああああアアアアア&#%@+*%#-graaaaaah!!!!!!!!!」
景藏は謎の言葉を発し、タクシー運転手に突撃していく。
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