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去年の十二月。
平結衣は本当に大きな失恋をした。
結衣の恋の相手は小瀬蓬という名前の、去年の夏に、たった一度だけ出会ったことのある普通の男子高校生だった。
でも、結衣はそんな蓬に恋をした。
自分が蓬に恋をしていると気がついたのは、自分の親友である日向明里が、偶然にも、その小瀬蓬と出会い、そして二人が恋人同士になったからだった。
そんな二人の姿を見て、初めて結衣は自分が蓬のことを本当に好きだったんだと気がついたのだ。
その日から、少しの間だけ、結衣は明里のことを避けて過ごしていた。
でも、すぐに年が明けて、反省した。
だって悪いのは、全部自分自身だったからだ。
結衣が勝手に恋をして、結衣が勝手に失恋をした。
ただそれだけのことだった。
「ごめんなさい」
結衣は学院の屋上に明里を呼び出して、そう誤った。
「ううん。こっちこそ、ごめんなさい」
すると明里はそう言った。
明里は自分の行動が結衣の心をすごく傷つけたのだと、ひどく結衣のことを心配していたのだそうだ。
そのことを聞いて、結衣は思わずその場で泣き出してしまった。
明里もそんな結衣を見て、泣き出して、二人はまるで中等部のころに戻ったみたいに、抱き合って、わんわんと一緒に泣き続けた。
それから二人は仲直りをした。
でも、それでも、結衣の中で、蓬に対する恋心はいつまでたっても消えることはなかった。
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