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「森野はさ、好きな人っているの?」絵里は言う。
すると、その絵里の言葉を聞いて、忍はすごく変な顔で、絵里を見た。
「……それをお前が俺に聞くのかよ」と忍は言った。
「どういうこと?」絵里は言う。
「どうって、……お前、俺の気持ち知っているだろ?」と忍は言った。
やっぱりか。と絵里は思った。
絵里は「はぁー」と大きくため息をついた。
「なんだよ。そのリアクションは」と忍は言う。
「……もしかして、森野。中学の告白のときからずっと、……その、私のことが、好きってこと、……だよね?」絵里は言う。
「……ああ。そうだよ」と少し間をおいてから、照れ臭そうにして、忍は言う。
そんな忍の顔を見て、絵里は思わずふふっと笑ってしまった。
「なんだよ?」
「なんだか森野っぽいなって思ってさ。純粋なんだね。森野は」絵里は言う。
「それをいうなら、お前だってそうだろ?」忍は言う。
「なんのこと?」
「……真冬のことだよ」忍が言う。
その忍の言葉で、絵里の笑顔は消える。
「お前、まだ真冬のことが好きなんだろ?」忍は言う。
そんなことに気がついている人なんて誰もいない。そう思っていたけれど、親友の芽衣と、それから幼馴染の忍には、絵里の気持ちは完全にばれているみたいだった。
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