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「じゃあ、お祭りは一緒に行くってことでいいよね」電話の向こう側で梓が言った。
「うん。じゃあまたあとで」と言って明日香は電話を切った。
それから明日香はベットの上に目転んで、自分の一番の親友である西山茜に電話をした。
「はい」と言って茜が電話に出ると、明日香は梓と一緒にお祭りに行くことになったから一緒に来て、と茜に言った。
「別にいいけど、私一人じゃ嫌だよ。あんたたち、どうせ途中で二人っきりになるんでしょ?」と茜は言った。
「ならないよ、全然ならない」と明日香は言う。
「じゃあ、そうだな。私は匠を誘ってもいい? それで匠が受けてくれたらそれでいいよ。四人でお祭りデートしよう」と茜は言った。
匠か……、と明日香は一瞬思ったが、茜の提案は一番現実的だった。
「いいよ。それでお願い」
「了解」
そこで二人は電話を切った。
明日香はそれから勉強をして、そのあとで気分転換に絵画の画集を広げて、それを眺めた。
その中で、一枚の絵が目に止まった。
ハムレットの中に出てくるオフィーリアの絵だ。水辺の横になった木の幹に腰を下ろしているオフィーリアの絵。
オフィーリア、ローズマリー、……花言葉は、ねえ、私のことを忘れないで……、だったかな? ハムレットの中にもそんなセリフがあった気がする。
明日香は深いため息をついて画集を閉じた。
それから勉強を続けるために、濃いコーヒーを淹れに部屋を出て、一階のキッチンまで階段を下りて移動した。
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