第14話 ひもじいと血を吸われる

 「ゆ~た~か~、ひもじぃ~よぉ~。」

 「お仕事の依頼が来る前に乾涸ひからびちゃう。」

 ドロシーとルイーズはコタツでしている。

 僕は決断を迫られていた。


 「今冷蔵庫には何が入ってるの。」

 「えーと、マーガリン、チョコレート、かな。」

 「あっ、ごめ~ん、チョコ食べた。」

 「えーーー、残しておいたのにぃーっ。」「そうだクッキーが残ってた。」

 「うーん、そりは私が昨日食べたの。」

 「つまり、マーガリンしかないんだね。」

 「「ひもじぃ~よぉ~。」」


 これはピンチだ、食費が一気に増大したのに、収入が増えてない。

 「とにかく後で食べ物を買いに行こう、まず命を繋がないと。」

 「「ひもじぃ~よぉ~。」」二人して僕の両脇に来る。

 ばぐっ。「いったい。」

 二人が僕の両側から、首筋に噛みついた。


 「ひもじぃ~からゆたかの血を吸う。」「ゆたかの血はおいちい。」

 「ダメだよ、今夜もバイトだし。」「いいじゃん、ちょっとぐらい。」

 「二人はちょっとじゃ済まないでしょう。」

 「ゆたか、大丈夫、この世界にはね、お腹が空くと、飼ってる牛さんの首に、ぷっつって、穴をあけてね、ごくごくする人たちもいるの、牛さんはちゃんと生きてる。」

 「そうそう、たから、私達に、ちょっとだけ分けて。」

 「ちょっと、ルイーズ、針を出さない、買い物に行こう。」

 「ドロシー押さえて。」「ふん、任せて。」「どうしてー。」

 「だって、ねえ、ドロシー。」「じっとしててね、ゆたか、皆勤賞だから。」


 「・・・何の。」

 「「言わない。」」「少しちっくってするだけだから」「いく~よ。」

 「嫌だよう。」「逃げた。」「待って、ゆたか、ねえぇ~。」

 ピンポン、ピンポン。「「 「ん。」 」」

 「はぁ~い。」「あっ、ちょっと、ドロシー。」「誰かしら。」

 このタイミングはきっと母さんだ、二人を目にしたら。


 ピンポン、ピンポン。「はぁ~い。」

 「えっ、女の子、あれ、間違えた、反対側だったかしら、・・・取り敢えず謝って。」

 がちゃがちゃ、きぃー。「どちら様ですか。」

 「あっ、すみません、まちが。」「あのぉ~。」

 「外人さん、可愛い、・・・凄く可愛い。」「その、あの。」

 「・・・良いわ、可愛い、可愛いわ、娘にしたい。」がっし。「きゃっ。」

 「・・・う~ん、あ~、良いわ、この感じ。」すりすり、すりすり。「え~と。」


 「はっ、Please(どうぞ)、えっとそれから、 become(来て)、そうそよ、 my son❜s wife(私の息子のお嫁さんに)、ふーん。」

 やっぱり。「母さん。」

 僕の後ろに隠れてルイーズが付いてくる。

 「ゆたか、こんなところで何をし、・・・て、・・・。」

 「良い、良い、良いーーーーーっ、」

 母さんがドロシーをハグしたまま、強引に部屋に上がり込む。

 「きゃーっ。」「あのあの。」「うへへへへへっ、可愛いぃ~。」

 がっし「うふ~ん、捕まえたあぁ~。」は~ぁ、もう、母さんは何してるんだよ。


 二人共捕まって、めちゃくちゃ強引にハグされている。

 「Please become my son❜s wife。」

 「来て、来て、来て、私の娘になってえぇ~。」

 こつん。「母さん、落ち着てよ。」

 「ゆたか、お隣さんに押し入って、何してんの、・・・まさか、犯罪、・・・いくらモテないかっらって、はあっ、御免なさい、御免なさい、御免なさい。」

 母さん、僕の事、そんな風に見てたの、・・・まあ、仕方無いかな。


 あっ、母さん、土下座まで始めた。

 「御免なさい、私の育て方が至らなかったの。」

 「かあーさん、ここ、僕の部屋だよ。」

 「ごめんなさーい、うちの息子が拉致をするなんて、直ぐに開放しま。」

 「かあーさん、僕の話を聴いて。」「これが犯罪でないなら何だと言うの。」

 「あの、・・・私達は、その。」「私とドロシーは、ゆたかのお嫁さんです。」


 「・・・嘘っ、何されたの、こんな子、かばわなくていいのよ。」

 「母さん、どうして僕が犯罪者前提なのさ、自分がお腹を痛めて産んだ子を信じられないの。」

 「母さんは、女の子が欲しかったの。」なんだよ、とうとうきっぱり言いよた。

 こうなったら、全部話すしかないか。「中に入って、説明するから。」


 すりすりすり。「良いわ~、やっぱり良い、やっぱり娘よねえ~。」

 母さんは、ハーレムよろしく両側にドロシーとルイーズを座らせて、肩をガッシっと抱いて(僕もやってみよう。)、交互にほおずりを繰り返している。

 「母さん、どうしてそっち側にいるの。」

 「決ってるでしょう、悪の魔の手から保護してるの。」

 「実の息子にどうしてそんな酷い事言えるのさ。」

 「実の息子だからよ、ゆたかの事は、お尻の穴の数も知ってるもの。」

 「皆知ってるよ、何しに来たのさ。」「私の娘を保護しに来たの。」

 ぎゅ~、ぐるぐる。「えっ、二人共お腹空いてるの。」こくこくこくこく。

 「これ、おにぎりとか、卵焼きとか、ウインナーとか、煮物もあるから食べて。」

 二人がこっちを見る。僕は軽くうなずく。「「わあ~~い、ご飯だあ~。」」


 「ゆたかさん、どうして私の娘達が、ひもじい思いをしているの。」

 あーもうっ、自分の娘にしちゃってるよ。

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