小心者

真夜中のコンビニへ行くのが好き。

なんとなく冒険気分なのよ。


夜道は怖い。

昼に通った道なのに長く感じるんだ。

発情期の猫の鳴き声は赤ん坊の泣き声にそっくりで、

私は思わず、後ろを振り返る。

「うひっ!」


「どうしたの」

子供をあやすような、彼の柔らかな声色。


「どうもしないかもっ!」

私は、ちょっと強気に彼に言う。

彼のタバコの煙が外灯にぼんやり照らされて一瞬、女性の顔に見えたのは内緒だ。


いざ、向かわん。

コンビニへ!

あそこは何でもあるのさ。

宝の山さ。

お金は払わなきゃいけないけどね。


でも、彼。

私の前を歩いておくれ。

怖いから。

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