第46話「宇喜多 直家」43(全192回)

『戦国時代の群像』「宇喜多 直家」43(全192回)「宇喜多 直家」(1529~1581)戦国時代の武将。備前国の戦国大名。通称は三郎右衛門尉、のち和泉守。官位は従五位下。宇喜多興家の子。子に秀家など。室は中山信正の娘、後に鷹取氏あるいは三浦氏の娘とされる円融院。享禄2年(1529)、宇喜多興家の子として生まれる。一説に 備前国邑久郡豊原荘(現・岡山県瀬戸内市邑久町豊原)にあった砥石城で生まれたとされるが、史料の裏付けはない。享禄4年(1531)(または天文3年(1534)、祖父・能家が島村盛実らによって暗殺されたとき、わずか3歳(6歳)だった直家は父・興家と共に放浪の人生を送ったという。成人すると天神山城主・浦上宗景に仕え、浦上家臣団の中で頭角を現す。直家は策謀に長けており、祖父の復讐を果たすために島村盛実を暗殺したのを初め、舅である中山信正や龍口城主・穝所元常を殺害し、浦上氏の勢力拡大に中心的な役割を果たした。永禄9年(1566)2月には美作国へ進出した備中国の三村家親を、顔見知りの阿波細川氏の浪人・遠藤兄弟(俊通・秀清)を起用して鉄炮で暗殺。翌年7月の明善寺合戦によりそれまで備前西部に進出していた備中勢の駆逐にほぼ成功する。その後も、姻戚関係にあった金川城主の松田元輝・元賢親子、さらに岡山城主・金光宗高などを没落させ、その所領を自己の知行とするなど勢力を拡大し、浦上家で随一の実力者となった[5]。永禄12年(1569年)、織田信長や西播磨の赤松政秀と結び主君・浦上宗景を倒すべく反旗を翻す。しかしながら赤松政秀が青山・土器山の戦いで黒田職隆・孝高親子に敗北し、信長から派遣された池田勝正・別所安治なども織田軍の越前国侵攻の為に戻されると逆に宗景は弱った赤松政秀の龍野城を攻め降伏させてしまう。これによって一切の味方が居なくなった直家は完全に孤立した為に独力での抗戦は不可能と判断し宗景への降伏を余儀なくされた。この時は特別に助命され帰参を許されている。天正2年(1574)に再び宗景からの独立を狙うにあたってはまず小寺氏預かりとなっていた宗景の兄・浦上政宗の孫・久松丸の存在に目をつけ小寺政職に久松丸の備前入りを打診し、許可を得るとこれを擁立し宗景に対して反旗を翻す。今回は久松丸の擁立と直家の事前の諜略により美作や備前国内での宗景配下の諸氏の離反が相次ぎ、更に宗景と犬猿の仲であった安芸国の毛利氏と結び軍事面での不利を覆す。天正3年(1575)の毛利氏による三村氏攻撃にも加勢するなど協同体勢を取った。同年9月、宗景の腹心であった明石行雄ら重臣たちも内応させ宗景を播磨国へ退け、備前のみならず備中の一部・美作の一部にまで支配域を拡大した(天神山城の戦い)。しかしながら宗景追放後も依然として備前には旧浦上家臣の勢力が残っており、また宗景や一門の浦上秀宗なども播磨からこれらと密かに連絡を取り合い、度々備前に潜伏する旧浦上家臣の煽動した小規模な蜂起に悩まされる事となる。この状況は天正6年(1578年)12月の浦上残党が一斉蜂起し、幸島を占拠するという事件まで続く事となる。浦上宗景・秀宗らが首謀者となったこの武装蜂起は一時期、天神山城を奪うなど勢いを見せ鎮圧には数ヶ月を要した。しかし、これを期に備前や播磨に潜んでいた旧浦上の勢力を領内から放逐。更に宗景を援助していた美作鷲山城主の星賀光重を討ち、宗景の領主復帰の野望を打ち砕きついに宇喜多家の領内での安定した支配権が確立される事になった。しかし織田信長の命を受けた羽柴秀吉が中国方面に進出してくると、これに対抗し、天正7年(1579)5月には信長に内応したとして東美作の後藤勝基などを滅ぼしたものの、10月、直家自身も毛利家と手を切って信長に臣従する。以降美作・備前各地を転戦して毛利氏と合戦を繰り返すが、天正9年(1581)の末頃に岡山城で病死。死因は「尻はす」という出血を伴う悪性の腫瘍であったという。 その死はしばらく隠されたといい[8]、天正10年(1582)1月9日が公式な忌日とされている。戒名は涼雲星友。古くは近世初頭の著述家・小瀬甫庵が自身の著作『太閤記』で、斎藤道三や松永久秀に並ぶ悪人としており、また出雲国の尼子経久・安芸国の毛利元就と共に中国地方の三大謀将と言われる。歴史書の「和気絹」でも記されているとおり、金光宗高をはじめ松田元賢、後藤勝基など手に余る者には、自分の娘や姉妹、或いは親類の娘を養女として、縁組を成立させて親類の体を表し、時節を見はからった上で毒殺したり、闇討ちして寝首をかく(暗殺・謀殺)行いが多いと伝えられる。また、それらの所業から、身内にさえ恐れられていたといわれる。

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