008_あの日

僕がまだ幼い頃、父と母が座り込んだ人に怒っていたことを覚えてる。

家の2階で引きこもっても声が聞こえてとても怖かった。

だけど、その人が帰った後は必ずおいしいものが食べれたから我慢できた。


毎年、同じ日にその人はやってきて、父と母に怒られていた。

怒られるんだったら来なければいいのにと思っていた。



高校を卒業した僕は真っ先に家を出た。

あの日を理解してから怖くなってすぐに逃げ出した。

僕は関係ない。関係ないんだ。


あの日、年老いた父と母は年老いたあの人を怒っていた。




大人になった僕はあれからもう家には帰っていない。

あの日を理解したものの、未だどうすればいいか分からない。

僕は関係ない?関係ないのかな?


あの日、年老いた父と母は若いあの人を怒っていた。

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