005_電車
いつからだろう。
電車に乗っている時間がつまらなくなったのは。
移動時間が勿体ないから参考書や新聞を読んだり、最近ではスマートフォン。
情報を詰め込む作業ばかりしている気がする。
小さい頃は電車に乗る、ということだけでご機嫌になっていた。
親が買っている券売機の画面を眺めること。
改札自動ドアに挟まれないかドキドキしたこと。
背伸びをして、つり革に捕まろうとしたこと。
何といっても一番の楽しみは座席に立って流れる景色を見ることだった。
各駅の意味も急行の意味も知らなかった。
端から端までを各駅で行った時は何時間もかかった。
だけど、色々なものが見えていた気がする。
いつからだろうか。
電車に乗っている時間がつまらなくなったのは。
移動時間を有効に利用することだけに、座席を確保するだけのために。
景色なんて全く見なくなった。
今の私が昔のように景色を見て、何を思うのだろうか。
小さい頃のように笑って窓の外を見れるだろうか。
いつからだろうか。
電車に乗っている時間が苦痛になり始めたのは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます