第5話 ファッション狂想曲
部屋奥に設置されたステージは、白い板を壁と床に敷いただけの簡易的なものだった。そこに立ち、アリスは正面でカメラを構えるランヴに体を向ける。
「お前が撮影するのか?」
「お金がねーからにぃ。はい、それじゃあ写真写りの確認を兼ねて、練習で何枚か撮ってみよっか。はい、笑って笑ってー」
「に、にぃー」
「んー。ぎこちないぞー。ほら、もっと自然に。アリスちんはお菓子の国に暮らしてる女の子なの。そのイメージで」
「ンなこと急に言われたって……わ、わぁ。お菓子だー。うれしーなー」
「ふざけてるといつまで経っても終わらないぞー」
「こっちは至って
素人たちによる撮影会は、探り探りの状態で進行していく。シャッターを切っては次々と注文を飛ばすランヴと、それに拙くも懸命に応えようとするアリス。その様子を見守るリリィとチェロット。ついでに、キュイに拘束されたままのリオナ。
始めは何かと不出来だったアリスも、試行を重ねていくうちに自然と険が取れていく。体の強張りも徐々に無くなって、ポーズを取ることに尻込みしなくなってきた。
そんな彼女の変化をカメラ越しに感知したらしきランヴは、額の汗を拭う素振りをしながら、リリィたちに振り返る。
「よーぉし。それじゃあ、そろそろ本格的にいきましょーかね。リリィちーん。チェロットちーん。手伝ってー」
「あ、はーい。何をすればいいんですか?」
「ステージの飾りつけでーす。とりま、これをステージに撒いてってー」
ランヴは部屋の隅に置かれた複数の麻袋まで歩き、それらを持って近づいてきたリリィたちに一個ずつ手渡す。
袋の口を開き、中身を確認するリリィ。目にしたのは、たくさんの色鮮やかな花弁である。
「これって……タマムシサクラの花びらですか?」
「そのとーり。撮影で使えるんじゃないかと思って、街中に降ったのを回収してたんだよにぃ。これを敷き詰めたらめっちゃメルヘンっしょ?」
「それはまあ……」
「じゃあ……やりましょうか」
リリィとチェロットは互いに頷き合うと、ランヴの指示を受けながらステージに花弁を振り撒いていく。
そうして完成した色とりどりの舞台は、カラフルに変化するアリスのジャンパースカートとマッチして、非常に幻想的な光景だった。
「わー。キレー」
「はい。ものすごくメルヘンです」
「そーだよねぇ! やっぱあちしって天才だわ! それじゃあアリスちん! お花の絨毯の上に座って!」
「え? こ、こう?」
「膝立てないで。もっとペタンって。女の子らしく! 膝を前に倒して、そんで両足は左右に広げんの。スカートも周りに広げて。そーそー! いーよー! ほら、笑って笑ってー!」
「にー」
「いーよー! 自然に笑えるようになってきたじゃない! そしたらお菓子食べてみよっか。バスケットの中の……クッキーがいいな。それを口に……ああ、丸ごとじゃないっ。端っこだけ! 唇で挟むカンジ! そんで持つ時は両手の指で!」
「両手の指で……んで、端っこを、はむ」
「そう! そんで上目遣い! そーそー! それじゃあ次は花びらを両手で持って! 顔に寄せて、遊んでるみたいにっ」
「こうか?」
「はい! いただきましたー! それじゃあ今度は花びらを一気に頭上に放って!花びらのシャワー!」
「とー」
「キター! っしゃー! それじゃあ一旦ここまでっ。現像してどんなカンジか見てみよーぜぃ!」
ランヴはカメラから宝石を取り出しつつ、傍にある現像機器らしき装置にそれを嵌め込み、スイッチを入れた。宝石が俄かに輝き、起動した現像機器がゆっくりと排出口から写真を送り出していく。
「わぁー! 見て見てコレ! ものすごくカワイイよっ」
「すごいですねぇ。ホントにキレイで、この世のものじゃないみたいですー」
「背景が白だと服がちょっち浮いちゃう感だけど、タマムシサクラの花びらがあると変わるねー。あちしの考えは間違いじゃなかった! アリスちんはドゥ?」
「え? あ、ああ。いいと思うぜ?」
「なして疑問系なのよぅ。素直にキャワウィー! って言っちゃいなよ!」
「うるせーなぁ。しょーがねーだろ。こうやって実際に自分の姿を見るとよぉ。いや、カワイイとは思うぜ? 自分のことながら。でもさぁ……」
「あ、もしかして恥ずかしいの?」
「何を今さら。後半なんてけっこうノリノリだったじゃないですか」
「う、うっせーなぁ」
現像機器を取り囲み、和気藹々と写真鑑定に勤しむアリスたち。
「私にも見せて見せて見せてー!」
そして、その様子を物欲しそうな顔で見つめるリオナ。
「もう暴走しない? みんなに迷惑かけない?」
「かけないかけない!」
「ちゃんと我慢できる? 写真を見ても自分を抑えられる?」
「できるできる!」
「じゃあ……すみません、キュイさん。放してあげてください」
「あ、はい。分かりました」
リリィの要請を受けて、キュイはのそのそとリオナから体をどけた。
やっと自由の身になれたリオナは、リリィが差し出す写真を掠めるように受け取る。そうして一枚いちまい確認していき、その都度、頬を蕩けさせていった。
「カワイイ~。なにコレもぉ天使ぃ~。はうぅっ。コレなんてもぉ! 少しだけアンニュイな表情と飛び散る花弁が絶妙に混ざり合う俯瞰の構図! 物語性が感じられるぅ~! あぁもぉ~! 愛おしいぃ~!」
「……ありゃもう末期だな」
「あの目。どこかで見たことあると思ったら、ウチの常連さんの1人にそっくりなんですよね……」
「あちしが言うのもなんだけど、世の中にはおかしな人がいるもんだ」
「自覚があるならもう少し自重してよランヴ……」
床に転がって身悶えるリオナに、誰も掛ける言葉を見つけられなかった。
そうした白けた空気を破るように、またもや両手を打ち鳴らし、ランヴはアリスに顔を向ける。
「よぉし! そんじゃあ次の衣装に参りますか!」
「え? まだやんの?」
「あたぼーよぉ! 服の宣伝なのにワンパティーンで終わりますかって。てなワケで、あちしはアリスちんの着付けをしてくるんで、リリィちんたちは悪いけど花びらを回収しといておくんなまし」
「はーい」「分かりましたー」
「しょうがないわね。だったら私はアリスの着付けを手伝いましょう。だってステージの片付けなんて3人いればすぐに終わるし。うん、しょうがないしょうがない」
「キュイさーん。お姉ちゃんをお願いしまーす」
「わ、分かりましたー」
「ウソウソウソウソ! リオナ掃除大好き! めっちゃ頑張る!」
「必死だ……」
人形だったら首が千切れてしまうくらいの激しさで頭を振るリオナ。その姿を見つめるチェロットの瞳がひどく凍てついていたのは言うまでも無い。
それからも撮影会は順調に進んでいった。
次のアリスの衣装は、黒と白がアンバランスに交差する、いわゆるゴスロリと呼ばれる丈の短いワンピース。長いブロンドを今度はツインテールで纏め、頭頂部には複雑にレースを編み込んだヘッドドレス、そして足にはレースアップのチェーン付きロングブーツと、てっぺんからつま先まで装飾に抜かりは無い。彼女が持つ、上半身を覆い隠さんばかりのゴシック調の大傘の影には、真紅のルージュで大人びた唇が背徳的に笑む。
この街ではまずお目にかかれない、妖しさとあざとさが絡み合うファッション。
「さぁ女王様! ステージにお上がりくださいませっ」
「女王様?」
「イエースっ! 今回のアリスちんは王国を統べる小さな女王様なのですよ! その性格は冷酷で残忍! でもでも国民たちは逆らえないの! アリスちんの可愛さと美しさの魔法の前に、
「弄ぶのです! とか言われてもなぁ……何すればいいんだ?」
「女王様の気持ちになってみて! イメージしてごらん! アリスちんの目の前には、命令を完遂できなかった愚か者が跪いてます! その人に残酷な女王様は何で言う?! この私の命令を守れないなんて、この駄犬が! ってなことを、そりゃあもう嗜虐的な笑顔で言っちゃうよね?」
「つまりそーいう笑顔をしろってか。できるかな……? ニィっ」
「ワオっ! なんつー尊大で挑発的な笑顔でしょう! まさしく女王様じゃないですかぁ! いーよー! そんでセリフも言っちゃおう!」
「セリフ? セリフって今のを? 言うの?」
「あたぼーよぉ! 所詮、顔だけの演技なんて見え透いたもの。真の感情を乗せるには実際に言葉にしなきゃ! さぁ、言って! カメラをその愚か者だと思って!」
「え、ぅ……こ、このわたしの、め、めーれーをまも、れないなんて、このだけんがっ」
「ノーノー! 恥ずかしがらないでっ! 堂々として、ちゃんと女王様に成り切って! 声もちっちゃいよぉ! そんなんじゃあキャンディを貰っておしまいよ!」
「ええいっ、くそっ。こ、この私の命令を守れないなんて、この駄犬が!」
「もっとセリフに感情を込めて! ただ読み上げるだけじゃダメダメ! 冷たく、嘲うように! ゴミを見るような目付きで、だけど笑顔は忘れずに!」
「うぅっ、こうなりゃヤケだ……! この私の命令を守れないなんて! この駄犬がぁ!」
「やればできるじゃねーのぉ! それじゃあ、次はイスに座ってみよっか。はい、これに座って。そこからあちしを見下して! そー! それでほら、もう一回!」
「この私の命令を守れないなんて……この駄犬が!」
「おっ、アドリブきましたーっ。最初は静かに、最後は苛烈に。足を組み替えながら、抑揚をつけて。いーじゃない! アリスちん才能あるーぅ! その調子でいってみよっ! さあ、また命令を守れなかった者が現れました!」
「え、えっと……駄犬がもう一匹やってきたの? 目障りだから二匹まとめて山にでも放り捨ててきなさい」
「女王様っぽいーっ! ああっ、今度はメイドがお皿を割ってしまいました!」
「あら、ここにも役立たずの犬が。いいえ、自分の職務すら全うできずにタダ飯を食い漁るのなら、ただの豚ね」
「豚って! おや? たくさんの国民が女王様の城にやってきました。誰もが痩せこけ、みすぼらしい格好をしています。どうやら厳しい税金の取立てに耐え切れず、直訴に来た様子です。これにはさすがの女王様も……」
「はっ。下民風情が、何を言っているのかしら? お前らは黙って私に尽くしていればいいのよ。納税は国民の義務。それを拒否しようなんて……どうやら躾が必要のようね。では、今後の税金はさらに倍を徴収することにしましょう」
「でもでも! それだと国民の多くが餓えて死んでしまうかもしれません!」
「私に逆らった罰よ! 食べるものが無いですって? だったらケーキを食べればいいじゃない! おーほっほっほ!」
「ああ! なんという無慈悲! なんという傍若無人! 捗るわぁ~~~~っ!」
「……ノリノリだなぁ、アリスちゃん」
「おーっほっほっほ、って笑う人はじめて見ました」
「ああっ! そしてここにも哀れな美少女が! ぜひともお仕置きを!」
「何してるの? お姉ちゃん」
続いての衣装は、ウェディングドレスを髣髴とさせる、床に届かんばかりのロングドレス。アリスの白い肌を際立たせるネイビーの生地に、チュールスカートは裾の部分にかけてオーロラのようにグラデーション変化を齎し、彼女がカツンと純白のハイヒールを鳴らして歩けば、その奥で瑞々しい生足が朧げに浮かび上がり、清純の中に艶やかさを落としている。
さらに、衣装に合わせてブロンドは毛先にパーマを当てた上でハーフアップされ、細かな宝石の花々に大きな蝶々を添える、植物の蔓を象ったティアラがそこに鎮座する。
先ほどの女王様と打って変わって、気品溢れる穏やかなファッション。
「さぁ! 今度のアリスちんは
「――ああ、一度でいいからこの家を飛び出して、外の世界を見てみたい。家柄も立場も忘れて、自分の人生を歩いてみたい」
「んんーっ。いーよぉ、その表情! でもでも、父親はそんなことを絶対に許してくれません。もし、その望みを口にすれば、監視の目はもっと厳しくなることでしょう」
「そう。だからこの部屋が私の世界。でも、寂しくなんかないの。だって、私にはこんなにステキなたくさんのお友達がいるんだからっ」
「ああっ、見える。アリスちんの周りを飛び回る小鳥たちが。足元を走り回る子犬たちが。肩や手に乗ってる小動物たちが見えるぅ!」
「うふふふふっ。きゃははははっ」
「ついに自分から物語を綴り始めたねー」
「ついに架空の生物と戯れ始めましたねー」
「うぅっ。なんて可哀想なアリス。リオナお姉ちゃんがすぐに迎えに行くからね。待っててね」
「ついにリオナさんも行くトコまで行っちゃいましたねー」
「それは元からだねー」
お次の衣装は、裾レースを施したふわふわワンピースのガーリースタイル。その甘いピンクに合わせるのは、こちらもレースを編み込んだ純白のニーソックス。ブロンドもふんわりとした縦ロールで幼さを演出し、加えて大きな紅色のリボンのカチューシャとたくさんのヌイグルミが、彼女の愛らしさをさらなる高次へと引き上げているファッション。
「はーい、アリスちーん。そこに座ってー。カメラに上目遣いのポーズ」
「じー」
「あーんっ。とってもプリチーっ。それじゃあ今度はヌイグルミを持ってー。それをギュッと抱き締めてー。そーそー。はい、笑ってー」
「にー」
「んーっ、かんっぺき! それじゃあそこにゴロンってしてみよっかー? ヌイグルミさんと一緒におネンネだよー」
「ごろーん」
「……もう躊躇いすらなくなってますねぇ」
「完全にランヴさんの手の上だね。アリスちゃんが年頃の女の子にしか見えないよ」
「いや、始めから年頃の女の子じゃないですか。普段の態度がアレなだけで」
「あー、んー……まあ、チェロットちゃんからしたらそうなるけどぉ……」
「……前から思ってたんですけど。おふたりともちょくちょくアリスさんを女の子じゃないカンジに扱いますよね? 目隠ししてお風呂に入れたり。オッサンとか言ったり。ねえ? リオナさん」
「やばいやばいやばいもう可愛過ぎるなにアレもぅお膝に乗っけたい髪を梳きたいほっぺた
「いいえ何も。話しかけてこないでください」
「話しかけてきたのチェロットじゃない?!」
「当然の反応だよ、お姉ちゃん」
お留守番の女の子、というコンセプトの下で行われるアリスの撮影が一段落し、ランヴはリリィたちに振り返る。
「よーし、それじゃあそろそろ選手交代といきましょっかー! リリィちーん! チェロットちーん!」
「え? あたしたちもやるんですか?」
「てっきりアリスちゃんだけだと……」
「なに言うてまんねん! 衣装にたくさんのサンプルが必要なように、モデルにもたくさんのサンプルが必要なのですよ! ねー? アリスちーん?」
「ねー?」
「ちょっと。大丈夫なんですかアリスさん。キャラが完全に変わってますけど」
「いーから! ささ、着替えて着替えてっ」
「うわっ」「ちょおっ」
ランヴに引っ張られて、強制的に着替え部屋に連れ込まれるリリィとチェロット。
それから約10分後、ランヴに押し出されるようにして、2人はアリスたちの前に現れた。
純朴な雰囲気を持つリリィは、オフショルダーのトップスとキュロットスカートの少し大人なファッション。肩に見える紫のブラジャーの紐がアクセント。
「ほーら、リリィちん。モデルなんだから堂々と。手で隠さないー」
「だ、だって露出が多いよぅ。というか、あえて下着を見せるファッションってホントにアリなのぉ?」
はねっ毛が活発な印象を与えるチェロットは、母親のマリーが購入した民族衣装を改変したような、丈の短い和服。その柄も、ロイス・マリーにあるものと違って非常に煌びやかであり、くせっ毛をお団子に纏めた彼女が着れば、祭囃子が今にも聞こえてきそうだ。
「わぁ、あたしコレ好きかもです。動きやすいし、キレイだしっ」
「気に入ってくれたようでなによりだにぃ。はい、笑って笑ってー」
「うー、みんな楽しそう。私もやるぅ!」
ステージ上ではしゃぎ回るチェロットを羨ましそうに眺めていたリオナは、自らの意思で着替え部屋に駆け込んでいった。
そうして十分後、ドアを叩きつけるように開けて、リオナは華々しく登場。
「魔法少女、リオナ! 参上! ……なんちって」
やけに露出が多いヒラヒラの衣装にステッキを持った、とてもマジカルでリリカルな服装。
それを目の当たりにした一同の反応は――
「うわぁ……」
「お姉ちゃん……」
「これはさすがに……」
「服に謝ってほしい。マジで」
――と、散々なものだった。
「ええっ? そ、そんなにおかしい? この服ヘン?」
「服に罪はあーりません。着ているあなたが罪深いのでぃす」
「袖を通す時におかしいと思いましょうよ。姿見があったはずですよ?」
「もうね、ホント……
「待って! 私まだぴちぴちの17歳なんだけどっ?!」
「あ、あの、リオナさんはその、とても大人びてらっしゃいますから……」
「キュイ。優しさは時として罵倒よりも残酷なんだぜぃ。はっきりと言ってあげなよ。正直、キツイって」
「う、ウソでしょ?! 大丈夫だよね! 私、カワイイよねっ? アリスちゃんもそう思うよね?!」
「いや、ねーわ」
「真顔?!」
「ほらー。アリスちゃんが正気に戻るほど見苦しいんだよ、今のお姉ちゃん」
アリスの率直な反応を受けたリオナは床に手と膝をつき、頭を重たく垂らした。そんな彼女の肩に手を置き、優しく語り掛けるのはランヴ。
「諦めなリオナちん。あなたはゴテゴテした服装よりも、無地のシャツとタイトパンツ、あとは厚底のハイヒールで十分、様になる。そんな女なのさ」
「そんなぁ! 私だって可愛く着飾りたいよぉ!」
「はっはーぁ。恨むんならそんなに美人に生まれた自分を恨むんだなぁ!」
「うわぁぁんっ!」
「え? 泣き叫ぶようなことか? 今の台詞」
「お姉ちゃんにとってはカワイイかどうかが重要だからね……」
「あたしからすれば、背が高くてスタイルもいいリオナさんは憧れの存在……だったんですけどねぇ……」
「過去形にもなるわな、今のあいつを見てたらそりゃ」
子どもが着るような衣装で泣き崩れるリオナを、慰めようとする者なんて1人もいやしない。それだけ、彼女のファッションが酷過ぎる、ということなのだろう。
そんなこんながあって撮影会も終了し、ランヴは写真の選定に移った。広告に使うための写真選び。その目的があるはずなのに、しかし彼女は、数ある写真の中でもアリスのものだけを優先的に抜き出し、それらを眺めては頻りに頷いている。
「……うん。やっぱり、何度見てもキャワウィー。まさしくあちしが思い描いていた理想そのもの。これは……イケるかもしんないっ」
そう言いながらアリスに向きを正したランヴは、彼女の手を取って叫んだ。
「ねえ、アリスちん! あちしの服を着てコンテストに出場してみない?!」
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