第305話

 舞美も事務所から連絡が来たらしい。


「ゴメン…、天司ヒロ君!

 私……ちょっと!!」

「ああ……」

 ロビーで別れ、彼女はタクシーで事務所へ向かった。


 ボクは外科病棟の四階、404号室の母親の病室を訪ねた。


 けれどもいまだに、母親の事を思い出せない。

 如月 舞美の事は、ハッキリ覚えているのに、どうしてなのか。


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