治っても病気
うーん、今日も良い天気。
絶好の治療日和だね。
寝間着からローブへと切り替える。
ドレスを持って待ち構えていたシーナさんとメイド軍に治療があるからと大義名分を持って追い返す。
朝食の為に廊下を出ると、昨日ベッド下で待機していた姫様がまた俺の使用した寝室近くまで芋虫みたいに身体を引き摺りながらやって来ていた。
昨晩、ちゃんとメイド達に回収されていくのを見送ったのに何なのこの執念。
それよりもメイドの皆鉄鎖で拘束された姫様を挨拶だけして素通りしている。一応、あんなでも王女でしょう。
俺としては襲われないから助かるけど。
朝食を簡単に済ませていざ市街地へ。
聖女の噂が広まっていたのか少し声掛けをしただけで治療を求めて人が集まってきた。
ノートン達が押し寄せる民衆の列整理をしてくれるから助かる。
何故か姫様や辺境伯家の子供達も一緒に整理を手伝ってくれていた。
あんなに辺境伯ママさんの影で恥ずかしそうに顔を覗かしていた子供達の面影は無い。
スゥ様がどんな洗脳をしたのか凄い気になるよ。
そう本人に伝えたらこう答えた。
「いえいえ、洗脳もなにもお姉様のご活躍は王国全土に広まっております。女神様を顕現したかのような御方を崇拝するのは当然でしょう。」
とても真顔で言われた。
自分で言うのもなんだけどこんなちんちくりんな女の子の何処に女神様要素があるんだか。
でも、治療をすればしていくほどこの町でも俺を見る目が変わっていってる気がする。
あぁ、女神様と本当に呟いている人がちらほらと出て来た。
治療の度にこんな綺麗な光が舞ってたらそう勘違いしてしまうかもしれない。
でも、それは勘違い、勘違いだからそこのお爺さん俺に向かって祈りを捧げないで。お供え物もいりません。
そこのエルドさん宗教勧誘しないで。
もう王都で見送っていた筈の人が居ても驚かない。
けれど、日頃の迷惑行為のお返しにお腹目掛けて天罰を送った。
「おぉ、有難き幸せ!」
とても気持ち悪かったです。
それを見ていた人達が女神様からの天罰はぁはぁと近寄って来ました。
とても気持ち悪かったです。
スゥ様天罰に対しての列整理はしなくていいから、あと私が一番最初ですと宣言しなくていい。
天罰する気無いから。
ようやくこの町での聖女活動終了。
成果はこの町の住人の信者化。膝から崩れ落ちました。
そして、次の日……の前に夜。
俺の寝室のベッドに大きなぬいぐるみが3つ置かれていた。
一緒に寝ましょうと言わんばかりに置かれたそれらに近寄ってみた。
とても荒い鼻息を頂きました。
その3体のぬいぐるみを一つに纏める様にぎゅっと抱き締めた。ふひひと三者三様の歓喜が漏れていた。
ちょっと動かないでじっとしてね。
鉄鎖が巻きづらいから。
ぐるぐるに巻いてメイドを呼ぶ。
いつもみたくよろしくお願いします。
快く引き取ってくれた。
中身は位の高い子達だから扱いはほどほどにね。
勿論ですと良い返事をしたメイドは引き摺るように持って行きました、まあいいか。
そして、町を去る。
仲良くなれたかは自信無いけど辺境伯の子供達に凄く別れを惜しまれた。
行かないでと俺のお腹に顔をぐりぐりとされたけど、引き離したらとても満足そうな顔だったのはどうしてだろう。
王都同様多くの信者達に見守られながらの出発。
湧いて出てきたエルドさんも聖女様バンザーイと叫んでいる。
あいつは流石にここまでだよな?
他国まで聖女様バンザーイをしに来ないよな。
溢れる不安を胸にいよいよ教国に突入。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます