聖女VS変態な化け物
うぶな乙女な俺には刺激が強い格好で闊歩する変態共。
そんな変態さんの視線はどうしたことか俺へと集中している。まさかこんなか弱くて繊細な女の子にあれこれしようって腹積もり?
いやん、殴っていい?
熱い視線にもじもじする俺にノートンがこっそりと呆れた眼差しと耳打ちを頂く。
そして分かった新事実。
なんとなんとあの変態達はお馬鹿さんで有名な珍獣系王子の私兵共とのこと。
身体的特徴から察せられるなんて流石はノートン、我らがノートン。
また呆れられた。
「アリス様私達の後ろにお下がりを。奴らがじわじわと近づいて来ております。」
「ねぇねぇ、あいつらお目々が真っ赤だよ。しかも、岩みたいにゴツゴツしてる。ノートン達大丈夫?」
「私達は不甲斐ないながらも護衛です。しっかりと護って切れ伏せてみせましょう。」
私も戦いに参加したいな、だめ?
だーめ。
あっちは8人でこっちは俺を含めなければ10人。
数的には有利だけどあの筋肉が偽物とは思えない。
ついに小さな女の子を狙うほぼ全裸な不埒な男達が襲ってきた。
「みんな、絶対に死なないでね。今度は絶対に治すから。」
「「「はっ!!!」」」
元気よく返事を返した皆は、ノートンの指示で俺に二人置いて残りは一対一でやり合うようだ。
でも、ちょいと厳しいと思うな。
俺に護衛は置かないで全員で当たった方がいいよ。
ノートンも本当は分かっているはず、それでも俺は護衛対象。
少しは頼れよと想うも両者が激突する。
ノートン達が先に先制を加えている。
体格はノートンらの倍以上だけど無駄に筋肉がもんりもんりで動きはやや鈍い。
速さではこちらが優先を取れるみたい。
でも、攻撃は届かない。
いや正確には刃は届いたけど馬鹿共の硬い皮膚に弾かれた。
う、羨ましいなんて思ってないんだからね。
頑張る護衛達は一撃でもまともに喰らえば死にかねない攻撃をぎりぎりで躱しつつ、尚も剣を振り重ねる。
それでも斬れない、かすり傷もつかない。
甲斐もなく疲れだけが蓄積されていく。
そして、油断は無くても隙は生じる。
護衛の一人が避けきれなくて肩に理不尽な一発を頂く。
恐ろしいほどの衝撃は彼をその場に留めさせてくれない。
後方へと勢い良く吹き飛び、近くの建物へと突然の訪問。
俺は急いで駆けつけ容態を確認。幸い死んではいなく気絶。でも、肩から骨がこんにちわと挨拶をしている。はい、こんにちわ。
すぐさま治療を行なう。
よく頑張った、ここでゆっくり寝るように。
状況は悪化の道を辿る。
数は俺に付いてる護衛を行かせれば有利だけど、元々戦闘していた人達の疲労は莫大。
彼らも潰されるのは時間の問題。
だから、もういいよね?
護られなきゃいけない立場だけど状況は深刻。
大体ただ見守るだけなんて俺の性に合わねぇ。
首をポキポキ鳴らして腕をブンブン回して準備万端。
さあ、出陣じゃあ!
「聖女様、遅れて申し訳ない!町の者達の避難は完了した。我々が加勢致しますので安心を!」
俺の前に立ち塞がるように変態共と向き合うハイドンさん率いる兵士達。
意気揚々と前へと踏み込んだ右足の行き場の無さ。
いつの間にか領主様が俺の横に。
「遅くなりました、もうご安心を。我々があの大糞下衆野郎共を殲滅してみせましょう。おい、我らが町を2度も襲ったこいつらに地獄を見せてやるぞ!」
「「「おう!!!」」」
あの、俺も戦いたいなぁ。
ねぇ駄目?
だーめ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます