今日も聖女は拳をふるう
こう7
プロローグ
聖女な一日
ここはシェアローズ王国の東に位置する名もなき村。
定期的に実施される各町や村を巡って治療をするため、王都からおよそ馬車で6日ほどかけてたどり着く。
お‥私が訪れることを事前に知っていたのか、村人全員で出迎えてくれる。総勢100にも満たない人数だけれど私が住んでいたところに比べれば何十倍にも多い。
お‥私一人訪れるのにここまで喜んでもらえるのは照れ臭いけど嬉しい。
聖女をやってて良かったと思うことの一つだ。
この期待に答えないとね!
「こんにちは、みなさん。私は聖女の称号を承ったアリスと申します。このように歓迎して頂きありがとうございます。」
お‥私は、村人全員を見渡し一礼する。
村人達は小さく「おぉ‥」と響めきを。
後ろに控える騎士ど‥様達はうんうんと安心するように頷く。
すると、ご老人が一歩前に出てくる。
この村の村長かな。
「おぉ‥このような寂れた小さな村にまでお越し頂き誠に有難うございます。どうか聖女様のお力で床に伏している者達をお救いくださいませ。」
ご老人は膝をつきまるで神に祈るように懇願する。
「お爺さん、どうかお顔を上げてください。この力は村が大きいとか小さいとか関係ありません。ただ目の前で助けを求める人々にそっと差し伸べるための力です。」
お‥私は今もなお跪くご老人の手を包み込むように握る。
そして、背中を支えながら優しく立ち上がらせる。
「なんと慈悲深き御方なんでしょうか‥うぅ」「おぉ‥女神だ‥」「あの幼い体にどれほどの慈悲を秘めているのかしら‥」
今の光景に村人たちが次々に感嘆の声をあげる。目に涙を溜めている人さえいる。
「それでは、早速治療を始めましょう。まずは重度の怪我や病気で動けない方達の治療を優先で行います。その後、残りの全ての怪我や病気を治します。どなたか真っ先に治療した方がいい人を教えて頂けますか?」
すると、村長がすぐに案内してくれました。
どうも一つの家にまとめて寝かせている様子。
部屋に入ると、横になっている4人とそれぞれの側に寄り添う人達がいる。
床に伏す4人は共通して全身に布が巻かれている。そこから滲む赤色がとても痛々しい。
どうしてこうなったか事情を聞く前に治療をしよう。
「父ちゃん父ちゃん!聖女様が来てくれたんだ、だから‥だから死なないで!」
お‥私の近くで7歳ぐらいの男の子が、真っ白な顔色で横たわる男性に叫ぶ。
この子のお父さんだろうか。
男の子に優しく触れる。
「大丈夫だよ、私が絶対に治してあげる。だから、落ち着いて。」
「せ、聖女さまぁ‥」
にっこりと微笑んで、今も苦しそうにするこの子のお父さんの側へ行く。
そして、その体の上に両手を広げてかざす。
すると、私の額にある聖女の証が光り出し、彼の体全体をいくつもの光が包み込む。毎度の事ながら、とても暖かくて心地よい光。
「聖女様きれい‥」
近くで見ていた男の子がそう呟く。
この光で私も輝いているように見えるからかな。
やがて、彼の周りを色めいていた輝きも次第に収まっていく。
治療完了。
さすが聖女の力。あれほど苦しんでいた彼は今や呼吸を落ち着かせ寝ている。
滲み続けていた血も止まっているみたい。
「ふぅーもう大丈夫だよ。お父さんの怪我は治ったよ。起きたら、いっぱい生きるために頑張ったお父さんを褒めてあげてね。」
「聖女様、ありがどうごじゃいます。ありがとうござじゃいますぅ‥」
この子の緊張の糸が切れたのか、涙と鼻水が止めどなく流れる。
お‥私は苦笑しつつ頭を撫でる。
さあ、3人頑張っている人達がいる。
私はこの子のお父さんと同じように繰り返し治していく。
みんな、傷一つない元の体に戻る。
よく頑張ったね。
次々に感謝の言葉を告げてくる村人たちに照れながら家を出る。
まだまだ怪我をしている人もいるだろうし、どんどん治療していきましょう。
私が聖女になってからの付き合いである騎士ノートンにお願いしておく。
「ノートン、ちょっといい?」
「はい、なんでしょうか?」
「私が治療している間で村長さんにあの大怪我の原因を聞いておいてほしいの」
「アリス様、また首を突っ込むおつもりですか?」
またかよとでも言いたげな目で見てくる。
そうまただよ。
「ふふ、聖女の務めですから。」
私は口に手を当て微笑む。
ノートン呆れないで。
という訳で、私は治療にノートンは村長に聞き込みを。
聖女の力は絶大だ。
効果も凄いところだけれど消費魔力も驚くほど少ない。
村人ほぼ全員の治療をしたにも関わらず未だに疲れ知らず。
お‥私も村長さんのもとに向かいましょう。
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