灯台下暗し
先日の日曜日に小屋へ行ったことは前のエッセイでも書きましたが、まさか!ということがあったのでネタとして書こうと思います。
小屋へ行った僕は、実の付け始めた野菜の写真をFacebookに使うため、せっせと撮り回っていました。
小屋の西側、一応一級河川がすぐ近くを流れてて、その土手の手前までが義父ちゃんの土地なのですが、今年はこの堤防側に西瓜を植えてるようで、こちらの写真を撮り終え小屋へ歩いてるときのこと、この小屋の唯一のご近所さんのおじさんが庭弄りをしていたので、ごあいさつ。
ご近所と言っても、今は妻の実家を壊してしまいましたし、宅地ではありますが登記上事務所としている小屋なので、実質住宅としてあるのはこのおじさんの家だけなんですがね(笑)
おじさんには僕ら夫婦の結婚式にも来て頂いて、かれこれ25年以上の付き合いになります。山菜採りと西瓜作りが大好き、毎日自転車で出かけ日に焼けた顔はいつも真っ黒、とってもアクティブなおじさんです。昔は義父ちゃんと同じ組合で働いていたので、昔から義父ちゃんの友達でもあります。
『こんにちは』
『おう!こんちは』
『おじちゃん、今年は山菜採りに行った?』
『いんや、今年は全然行ってないんだ』
『やっぱりコロナの影響?』
『山に入るのなんて密にならんから関係ないけど、もう体力がな(笑)』
『まだ80歳なんだし、そんなことないでしょ?(笑)』
『いやいや、もうあの傾斜登るのがきつくなってきてたんだ』
『そっか、それじゃ今年は山菜食べてないの?』
おじちゃん、急に怪しげな笑みを浮かべ、僕を手招きします。
おじちゃんの土地は元々地盤が良くない場所だったので(小屋も地盤が悪く少しだけ傾いてます)、地盤改良を行い周りの地面より50cm程度高くなっています。
僕はおじちゃんの土地との高さを中間にある、傾斜の手前まで寄ると
『ほら、ここにあるから(笑)』
『ん?このタンポポの綿毛みたいの?』
『うん、よく根元見てみろ』
『あっ!』
そう、その綿毛のような花をつけてた植物は、何とアイヌネギ(行者ニンニク)だったのでした。しかもかなりの数があり、綿毛のような花もたくさん咲いていて、よく見ると種もついてました。
今年は行けませんでしたが、毎年春にアイヌネギを採りに行ってるとはいえ、山に入るのはアイヌネギが生えてきたばかりのころですから、蕾は一緒に採れることがあっても、花が咲く季節(山菜採りシーズンから2ヶ月くらい経過している)は、そもそも山に入らない、、、というか、草木が茂りすぎて入っていけないですよ、虫も多いしね(汗)。
『これ、どうして・・・』
『あぁ、何年もかけて山菜採りに行ったとき、少しだけ株を持って帰ってここで育てだたんだ』
『いや・・・それにしてもアイヌネギって立派になるのに5~7年って言われてるのに』
『そうだよ、もうアンタが〇〇ちゃん(妻のこと)と結婚する、ずーーーっと前から育ててるんだ』
『・・・すげぇ』
『ほら、そっち見てみな』
指さされた方を向くと、見覚えのある青い若木のようなものが
『え?これってウドじゃ・・・』
『そうだぞ、それにこの3本の木』
『あっ!これ良く見たらタランボの木だ!』
野生のタランボより、気持ち棘が少ないですが確かにタランボの木でした。
『おじちゃん、すごいね!』
『昔歳をとって山に行けなくなっても良いようにと、少しづつ育てたんだ』
『うーん、それにしてもこのアイヌネギ、全然収穫してないんじゃない?』
『少し採って醤油漬けにしてあるんだけどよ、いつでも採れると思ったらそんなに食べたいと思わなくなってよ!ガハハハハ』
まじか・・・
『おう、そうだ!このアイヌネギ好きなだけ採っていいから、来年でも採ったアイヌネギ入れて、そこの小屋でジンギスカンすれ』(すれ:北海道弁で”やれ”の意)
『え、いいの?』
『あぁ、こんな量一人で食いきれねーからな(笑)』
『それじゃ、来年はアイヌネギ入りのジンギスカン用に美味しいジンギスカン仕入れに行くから、おじちゃんも一緒に飲もうよ』
『お、いいのか?』
『もちろん!それに飲みすぎたって歩いて1分もしないでベッドに行けるでしょ?(笑)』
『こりゃ、飲みすぎないように気を付けないとダメだな!ガハハハハ』
なんていうか、本来手つかずの自然の山の中にしかない山菜が、こうも至近距離あったとは・・・絶対目に入ってたはずなのに、思い込みとは恐ろしいものです(笑)。
そんなわけで、山菜採りは山菜採りで来年も行くとは思いますが、採って3分でジンギスカンに入れれるアイヌネギが確保出来ました!来年の春が凄く待ち遠しくなりました。
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