第79話:逃亡戦線03
ハナの目が修復するまで、残り一分――
「もうさ、俺っていうやつは、なんて繊細な作法を続けていたんだろうな」
「……?」
「一人ずつ相手するんじゃなくて、テメエら両方とも一気にぶっ殺せば済む話じゃねえか!」
ハナは目つきを更に尖らせると、更に殺意のオーラを強くする。
そして――
バサァ……
「……漆黒の、羽……」
「改めて言いますが、ハナは悪魔という存在です。羽を生やし空を飛ぶことは、生物として常識的な行為の一つです」
太陽の光を覆うように大きな羽がハナの背中から広がっている。
まるで、暗黒の世界へと包み込むような絶望的状況とでも言いたいのだろうか。
「やっぱり、てめぇらの届かねえところから、一方的にミンチにするのが楽って言うことに気づいたわ。陰湿な殺欲なんてもうイラねえ……ただてめぇらが死ぬ姿だけを納めたい欲求があふれ出てくるぜ!!!!」
つまり、今までは自分が気持ちよくなるためのシチュエーションを作るために、あえて非効率的な動きも許容しながら戦闘をしていたけれど、これから最適な攻撃を仕掛けに来るということなのだろう。
「リヌリラ。あのバカから逃げるチャンスがやってきました。バカは血が上ると攻撃が荒くなります」
「そんなバカに殺されるお前達の表情を見てやりたいな。じっくり血を流しながら楽しもうじゃねえか」
「遠慮しておく。お願いだから、今日はおとなしく帰って欲しいな」
血が沸騰しているハナと、それとは対照的に、氷のように冷えた私とルーミル。
今はハナを相手にするべきではないと決定した今、向こうの挑発的態度に乗ることは、自分自身を見失うことになってしまう。
流石に私たちは、そこまで愚かではない。
ハナから脱出する
この目的を達成するためだけに、残り時間を精一杯に利用して戦うことだけをする。
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