ゲームの世界に転生のライトノベルの世界に転生
ビョン
これは、ゲームの主人公とライトノベル主人公とこの話の主人公3人の物語である。
皆様異世界転生というものに備えておりますか?
このご時世トラックに引かれかけたら転生、クラス単位で転生、寝たら転生、気づいたら転生。色んな転生の方法があります。
さらに転生先は大方中世的な剣と魔法とモンスターの世界。勇者として圧倒的な力で魔物と戦うか、王として極悪非道な近隣諸国と他者が考え付かない閃きで戦い、平和な世を目指すか。
おおよそそんなところだ。
私もいつ転生してもいいように、職種も魔法剣士とシミュレーションしたり、常にスマホを身に付け日本刀の特徴や鉄砲の仕組みをそこそこ勉強し周りに驚かれても普通の事とポーカーフェイスで言えるように鏡の前で練習しておりました。(未取得)
そして、俺は気付いたら雲海の上に立っていました。
目の前にはとても美しい女性が立っていました。
「初めまして、私は女神アストラ。貴方は先程、車に轢かれかけた少年を助け死んでしまいました。あなたの誠実で素晴らしい行動に感銘を受けたので私が受け持っている世界に転生させてあげましょう。」
「はあ……。」
「何かご不明な点でもありました?」
俺の腑抜けた返事にきょとんと首をかしげる。
「本当に転生ってあるんですね………」
「はい。基本的に生き物は死ぬと一度天国に行き以前の自分を忘れる程長い期間を経て生まれ変わります。」
天国って、そんな役割だったのか……。
「しかし、貴方のように素晴らしい行いをした者等は過去の記憶をもってある程度の役割ある程度の力を持って転生出来るのです。」
「なるほど。転生のシステムは理解できました。所で女神様、俺はどのような世界に転生するのでしょうか?魔王が率いる魔物達と戦う世界ですか?それとも……」
「転生先については、これを見ていただくと分かりやすいでしょう。」
俺の言葉を遮った女神は、俺に薄ぺらい箱のような物……。よく見るとゲームのケースを渡してきた。
「あなたが生前好きだった【君にむchi!!】の世界です。」
説明しよう!!【君にむchu!!】とは俺が生前狂ったようにひたすらやり続けた学園物のギャルゲーであり、主人公相模となり様々なキャラ付けをされたヒロイン達から一人を選び攻略し、エンディングを目指すゲームである!!
「何でゲームの世界なんですか!?」
「まあまあ、細かい事は気にしないで。相模君はお気に入りなので良き友人となってあげて下さいね。」
「あぁ、はい。………じゃなくて!!まず転生先普通の学園だとあんまり前と変わr「では、憧れの美少女がたくさんいる甘~い学園生活を堪能して下さいね。」
その瞬間、俺の足元だけ雲がなくなり……
「いってらっしゃーい」
「ぎゃああああああ!!!落ちるぅ!!!」
高度何万メートルからパラシュート無しのスカイダイビングが始まった。
「あれ、なんだこの本?」
自室の片付けをしているとおよそ導入部までしか書かれておらずそれ以降はただ白紙なページがひたすら続く謎のライトノベルを見つけた。
「タイトルは……【転生先が生前好きだったギャルゲー世界なんだが】?こんなの買ったっけ?」
およそ買った記憶もないし、買ったとしてもここまで白紙ページが多い本をそのままおいてあるはずがない。
「覚えてねえなぁ………。」
俺は、本をとりあえず段ボールにしまおうとした。
その瞬間急激な頭痛と目眩が襲ってきた。耐えれずその場で倒れ込む、すると急激に瞼が重くなり体から力が抜けていくのを感じる。なにがあったのかわからない、なにも思考できない。俺は……
「……田!小田!」
地鳴りのような声を聞き、机に突っ伏してた顔をあげる。
そこには鬼のような顔をして立つ担任の伊東が立っていた。
「へ?」
「授業中に寝るとはいい度胸じゃないか………」
「え?あ、そっか俺ギャルゲーの世界に転生してるんだった。」
げんこつ
「訳のわからん事言ってないで寝ないように廊下に立っていろ……」
「はーい…」
クラス中の笑い声に押され、渦中の生徒小田は教室を出ていった。
「転生とか豪快な寝惚けだったな。」
「ああそうだな。」
小田の席のすぐ後ろに座る原に斜め後ろに座る相模が声をかける。
「しかしよくやるよ。鬼の伊東の授業で寝るとか度胸あるよな。」
「全くだ。」
「原に相模も私語してるなら小田と同じ目に会わせるぞ~。」
「「すいませーん」」
相模が原にごめんとジェスチャーをして慌てて前を向く。そうしていつも通りの授業風景に戻っていく。
しかし、こんな風景も現実の物ではない。
相模は知らない。自分がゲームのキャラであることを。
相模は知らない。小田も原もこの世界の住人ではないことを。
小田は知っている。相模が、この世界がゲームの話であることを。
小田は知らない、自分がそういう設定のライトノベルの主人公であることを。
原は知っている。相模が、この世界がゲームの話であることを。
原は知っている、小田がゲームのあるあるをネタにするライトノベルの主人公であることを。
季節は冬。
これは、ゲームの主人公とライトノベル主人公とこの話の主人公3人の物語である
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