293. 私はトイプードルで別世界に行く
Sunday, December 30, 2018
私は祖母と母と食事に出掛けていた。突然、祖母がうん蓄を語りだした。とある有名なトイプードルの映像を見続けていると、だんだんとトイプードルが肉に見えてくるというものだった。私は早速試してみた。すると、確かにトイプードルの尻尾が、つくね串や串カツのように見えた。すると、ぼんやりと見えていた街の背景が広い草原へと変わり、呆然としながら歩いていると、小さな寺に辿り着いた。
寺には修学旅行生が数人おり、私は中に入って階段をおりた。すると、そこは狭い浴室で、中には止まれの道路標識が立っていた。私は元の世界に戻るには、再びぼんやりとした感覚になればいいのだと思い、浴槽にたっぷり入った湯に浸かった。すると、浴室の入り口扉が開き、1人の女子高生が顔を出した。ツバキ君はいないか、と聞いてきたが、私と出口付近にいた眼鏡の男子高生が知らないと言うと、女子高生は中に入ってきた。
ふと道路標識に目をやると、標識は「止まれ」からUターン禁止に変わっていた。だんだんマークが渦を巻いてきたように見えたのでしばらく見ていると、白いラインが棒に変わり、標識は木製の時計になった。時計は女子高生の足をかすめて落ち、彼女は悲鳴を上げた。その時、浴室に小柄な男子高生が入って来たかと思うと、出口からいきなり坊主頭の男子高生が飛び出してきて、小柄の心臓目掛けて鋭利なナイフを突き立てた。小柄の胸からは血が溢れ、浴室の扉が閉まると、私は元の街に戻っていた。
私はなんだか釈然としないので、もう一度トイプードルの映像を見て、同じ寺に行った。先程と同じ展開になったが、ナイフで刺された小柄な男子高生をよく見ると、今度は血の色が青になっていた。私は女子高生にそれを指摘したが、女子高生はいいのいいの、と言って誤魔化した。そして私は、再び街に戻った。
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