第24話 洗脳魔法。そして、本当のレミリーはーー。 ー3

「"通眼"」

 蓮斗はレミリーの近くにしゃがみこみ、"鑑定"の更に上位互換である"通眼"を使う。これを使うことで原因の特定方法がわかるのだ。まあ、本人のステータスも判ってしまうのだがこればかりは勘弁してほしい。

レミリー Lv72 職業:顕現魔術師


生命力     79800

魔力      85700

魔法展開速度  82000

魔法耐性    89000

想像力     97050(+19700)

スピード    100800

攻撃力     68050

防御力     87000


スキル

顕現、降臨(+無詠唱)、飛翔、エンチャント、想像力補助、威厳


状態異常:洗脳魔法


原因の特定方法:長い間洗脳魔法による支配が行われているため、普通の解呪方法では解けない。そのため、記憶に直接干渉する必要がある。記憶に潜り込み、その魂胆に絡み付いている洗脳魔法を駆除することが最も最適だと思われる。


 俺は"通眼"によって得た情報をレミリーのステータス画面を見ながら読み上げて説明する。それを二人は黙って聞いた。

「蓮斗」

「なんだ?」

「洗脳魔法の解き方は判った。だが、記憶に潜るのは俺は直接潜ったこともないから分からないが、危険なんじゃないのか?」

「……そうだな。確かに危険かもしれない。だけど、だからと言って救える命を捨てる気はないよ」

「……なら俺も同行するぞ。ここまで来たら一蓮托生だ。蓮斗一人に背負わせる訳にはいかない」

「私も。蓮斗くんだけに負担はかけたくない」

「……これは下手すれば二度と帰ってこれないかもしれないし、死ぬことだってあるかもしれない。……それでもいいのなら一緒に行こう」

「もちろんだ」

「私も」

 秀治と川崎は真剣な面持ちで頷く。

「蓮斗。ふと疑問に思ったんだが、俺はあるから問題ないが記憶に潜る魔術がない川崎の場合、どうやって記憶に潜るんだ?」

川崎は確か治癒士だったな。そこら辺を考えての秀治のこの発言か。だけどそれなら心配はいらない。

「それなら問題ないと思う。"コネクト"を使えば魔法を共有できるから」

「そうか。それならば問題ない。行こう。王女の記憶の中へ」

「おお」

「うん」

 俺達は少し微笑みながら頷いた。多分緊張をほぐすためにだろう。無意識のうちに俺達はそうしていた。

(そういえば……。王女のレベルとステータス高かったな……。どうりで俺達では全然歯が立たなかった訳だ。まあ、この国の王女だしそれぐらいじゃなきゃやっていけないんだろうなぁ……)

 俺はそんなことを考えながら魔法陣を構築し始めた。核となる魔法陣の形成……。"コネクト"付与……。補助魔法陣の形成……。歪み修正……。不必要な魔法式の削除……。よし……!

「"メモリー・ダイブ"、"コネクト"発動」

 俺が魔法を発動した瞬間、紫色の複数魔法陣と青色の複数の魔法陣が出現する。やがて、その魔法陣は一つに収束しとても眩しい光を発した。



 俺達が目を覚ますと、周りに四角形のスクリーンみたいなものがあり、王女が過去に体験した映像が映し出されている。下の方に床はなく、暗い空間が続いている。つまり、俺達は今宙を浮いている状態なのである。

(……ここには何もないみたいだな……。下の方にしか空間が続いてないし、行ってみるしかないな……)

「二人とも、行くぞ」

蓮斗はそう言いながら秀治と川崎の二人を見る。すると、何故か分からないが二人は自分の腕を自分を守るように組み、ガクガク震えながら下を見ていた。

「……? どうしたんだ? 二人とも」

「い、いや……。どうしたんだ? じゃないだろ? 俺等浮いてんだよ?」

「……? それが?」

「いやいやいや! 蓮斗くん? それが? じゃないでしょ!? 怖くないの!?」

「いや? 全く」

「「少しは怖がれよ(がってよ)!!」」

 二人は声を大にして叫ぶ。が、当の本人には全くわからなかったようで。

「……? どこを怖がればいいんだ?」

 蓮斗のこの発言に二人は大きく溜め息をつき、もういいやとでも言う風に手を振って何でもないと伝える。

「じゃあ、秀治、川崎。今から下の暗い空間の方へ行くぞ」

「わかった」

「うん」

 蓮斗の言葉に二人は肯定の意を示した。

 こうして、三人の王女の洗脳魔法を解くための戦いが幕を開けたのだった。




 




 



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る