第20話 最終決戦。そして、ついに決着へーー。 ー1
俺は戦闘態勢を取ったまま目の前にいる敵に集中する。敵もまた同じだ。数秒間、膠着状態が続く。一歩でも間違えば命はない。勝てる策があるのかと問われれば当然ないと答えるしかない。否、策などあったとしても絶対あの化け物に通用などしないだろう。これは本能に従って戦うこと以外に勝つ道などないと言っているようなものである。だが、実際問題そうすることでしか奴とは渡りあえないだろう。神の加護を受けた今でも勝てるかわからない。俺がいくらチートな存在だからといって簡単に倒せる相手ではない。
最初にこの膠着を破ったのはレミリーの方だった。レミリーが空からこちらのほうへ向かって手を伸ばす。
「インビジブル・ダークバール」
先程とは段違いのスピードで闇属性の見えない弾が蓮斗めがけてとんでいく。神の加護を受けた蓮斗はスキル"炎透眼"を発動する。"炎透眼"によって先程まで見えなかった攻撃も見えるようになる。蓮斗は闇の弾が来たであろう方向を向く。蓮斗に闇の弾があたる直前ー。
ゴオォォォォォォーー!!
炎が闇の弾を焼き尽くし、蓮斗に当たる前に闇の弾が消滅した。
「な……!?」
レミリーは目の前で起きた出来事に驚き、その表情を露にする。
(……っ。見えないように"ダークバール"に透化の魔法と透視系魔法の妨害をする魔法をかけたはずなのに……! なぜ焼き尽くされた……!? 並みの人間じゃさっきの私の魔法は見えないはず……! あいつはさっき魔法を使ったわけでもない。なのにどうして見えている……!?)
降臨魔法とは生物を自分に取り込むことで、自分の能力を飛躍的に向上させる魔法だ。だが、この魔法は本来禁忌に指定されている魔法なのだ。自分の肉体を滅ぼしかねないというのと下手すると精神を乗っ取られてしまうからだ。ただでさえレミリーは魔法の才に長けているのだ。そのレミリーの魔法を無効化するなど並大抵のことではできない。それを目の前のあいつがやってのけた。そんなことがあってはならない。計画の邪魔をされるわけにはいかない。レミリーはそう思い、次の攻撃を繰り出す。
「フラッシュ・ボム」
カッッッッッ!
圧縮され、爆ぜた光が蓮斗を襲う。圧縮されているため、かなりの高温だ。
これであいつは焼きただれて、まともに動けないはず。レミリーがそう思った矢先ー。
「がはっ……!?」
背中に強い衝撃を感じた。と同時にふきとばされ、地面に何回かバウンドする。
「油断したのが運のツキだ」
レミリーが声のした方を向くとそこには無傷の蓮斗が立っていた。
「あり得ない……。あり得ない……! あり得ないっ!! 一瞬で作り出される私の"フラッシュ・ボム"をよけるなど……! 」
レミリーは立ち上がりながら息を荒くし、怒りを露にする。
蓮斗はすかさず次の攻撃へ。
「"炎雷纏いし双剣"」
両手に炎と雷を纏った双剣が出現する。俺の魔法の効果時間はだいたい10秒くらい。この双剣もすぐに消えてしまう。"具現化"出来ないのは残念だが仕方ない。双剣が消える前に俺の攻撃をレミリーに喰らわせるまでだ!!
「"縮地"」
俺はレミリーのすぐ近くまで来る。レミリーは俺の動きがいきなり速くなったことに驚愕し、俺の次の攻撃への対応が疎かになった。
「御影流剣術 "螺旋"」
俺はレミリーを下段から中段、上段へと螺旋を描き炎と雷を纏った双剣で切りつける。
「しまっ……。がああぁぁぁぁ!!」
蓮斗は小さい頃から剣術を習っていた。中学生まで剣術を続けていたが、高校生になり剣術の練習を止めた。親からは続けるように説得されたがそれを押しきった。こんな物騒な武器を扱う時が来るほど日本の治安は悪くないし、剣術の練習する時間を自分の時間に充てたいと思ったからだ。片手剣、短剣、はたや、双剣や大剣、レイピアなど様々な武器を扱った。これが将来何の役に立つのか常々疑問に思っていたがまさかこんなところで役に立つとは思わなかった。
「橘流剣術 "錯乱"」
御影流剣術"螺旋"に橘流剣術"錯乱"を組み合わせてレミリーに攻撃する。レミリーは防御を試みるが、橘流剣術"錯乱"によって攻撃が読みにくくなり、レミリーは思うように防御ができない。橘流剣術"錯乱"はフェイントを入れながら攻撃することで相手を混乱させる技だ。この技は基本どの剣技とも組み合わせることが出来るので、万能な技なのだ。
俺の魔法がそろそろ切れ始めて来たので俺はレミリーから一旦距離を取るため、後ろへ跳躍した。
「ぐっ……」
レミリーは痛みに顔を歪めながらも、蓮斗に隙を見せないよう気丈に睨み付ける。
(自分の身体に
「"
レミリーの力が更に膨れ上がる。体から尋常じゃないくらいの魔力が感じられる。
「覚悟しなさい……。お前に本当の絶望と死を与えてやる」
レミリーは不気味な笑みを浮かべ、もはや姿も視認できない速度で蓮斗に襲いかかった。
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