拝啓、猫先生。

　梅雨なのに雨が降らず、涼しい日々が続いていますがいかがお過ごしでしょうか。

　最近、手紙を書くのですがうまく書けません。

　どんなことを書いてもいいはずですが、やはり読んでもらう以上、楽しい話がいいと考えると、何も書けなくなります。

　気負い過ぎなのでしょう。

　なにより目上の、お世話になった人への手紙です。

　失礼があってはいけない。

　考えすぎでしょうか。

　猫先生は手紙など、お書きならないでしょう。

　そんなものを書くよりも、会いに出向くのでしょう。

　会うとなると、理由がいるものです。

　とくに理由がないので、よけいに足を運べません。

　そんな後ろ向きな気持ちが、手紙を書く手を止めさせるのでしょう。

　臆病ではなく、気を使いすぎ、気にしすぎなのでしょう。

　大事なものや大切なものを持つのはいいが、大事にしすぎるのも問題ですね。

　少し、考えないようにするのも良いかもしれません。

　もうすぐ梅雨らしい雨が降ります。

　時節柄、お体にお気をつけください。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　敬具

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