第4話:突然のこと

「いやー、やっぱり先輩の料理って安定して美味しいですよねぇ。うちにも一人欲しいです」


「おい、人を便利用品みたいに言ってんじゃねぇよ」


 そんなことを話しながらグラタンを食べ進める。


 すると唐突に……。


「先輩! あーん」


「……いや、なんだよ」


「ほら口開けてくださいって、赤ちゃんでもあーんって言われたら口開けますよ?」


「……いや、まだ自分の残ってるし」


「ほほぉ、そんなこと言っちゃって。嬉しいくせにー」


 本当にコイツは何がしたいのか分からない。

 いや、そりゃあ可愛い女の子の"あーん"というのは魅力的だよ? だけどさ……。


「もぉ、じゃあいいですよ。……あっ、今凄い残念そうな顔してましたよ……? いやぁ、先輩、可愛いですねー」


 あっ、これは強い……ふっ、だがな俺はコイツの弱点を知っている。


「仕方ないのでもう一回してあげますね。はい、あーん」


 そしてまたあーんと言いながら迫ってきたので、すぐに俺のグラタンを一口分フォークでまとめあーんと言っているために開いている口許へ持っていく。因みに『ふーふー』もしておくとなお効果的だ。


「あーっんんっ!? あつっ、はふっはふっ。んくっ……。ちょっと先輩それは卑怯ですよ!?」


「おっ? 顔が赤くなってるぞ? 熱でもあるんじゃないか?」


 うん。やっぱりコイツからかう側は手慣れてるけど、からかわれるのは全く慣れてねぇな。


「あー、たしかに熱があるのかもしれませんねぇ。ねぇ……先輩ちょっと……測ってくれません?」


 へ? 


「いや、測る……とは?」


 そう聞くと、恥ずかしそうに一瞬目を逸らしてから、俺の耳元に口を持っていき、艶っぽく囁く。


「ただおでこに手を当てるだけでも良いですけど……脇の下の方が良いですか……? 私はそれでも……先輩なら、許しちゃいます……かね……?」


 なん……だと……!? 


「なーんて、勿論冗談ですよ? アレレ? おっかしいぞぉ〜? 奈月先輩の顔が赤く染まってますねぇ? おやおやぁ?」


「くっ……」


 やばい、勝てる気がしない。なんなんだよ、この無駄な演技力。


 それからそんなやり取りを俺たちは十五分程続けた。



 食べ終えたグラタン皿を洗い終えて、リビングの机でお茶を飲んで一息つく。


 そして、俺は聞こうと思っていたことを尋ねる。


「なぁ、NDOでの武器と防具って変えるタイミング的なのあったりするのか?」


「変えるタイミング……うーん、誰かが北の山脈を越えたところにある第三の街に到着した頃、ですかね。勿論高くはなると思いますが、北の山脈で取れた鉱石を第三の街にある施設で精錬してできるのがβ版では一番優れた性能でしたから。

 西より北の方がレベル高いのでもう少し先になりそうけど、それまでは金策してれば良いんじゃないですか?」


「んー、ならそうするかな」


「あっ、それとイベントの情報が来てました!」


「へぇ、随分早いな」


「なんか第三の街に到達した人が千人を越えたくらいにイベント開催予定って書かれてました。これたぶん、会場が第三の街なんでしょうね」


「……普通始めのイベントって始まりの街かその周辺のフィールドで起こるもんじゃないのか?」


「たぶんそんなに人数が集まらない初期にしかできないイベントでもやるんじゃないですか?内容は考えつかないですけど」


「ふーん。まあ行けたら行きたいな。イベントがどんなもんなのか直接見たいし」


「まぁ先の話だとは思いますけどね。あっ! 今日この後一緒にできますか? まだ一人でやることが残ってるなら良いですけど」


「うーん、何時くらいまでインしてる? アーツの確認だけしときたいけど、それが終わってからのことは決まってないから」


「はい。……たぶん十八時までですかね。二十一時過ぎたらまたインすると思いますけど。


 今は十三時。たぶん掛かったとして二時間くらいか? 


「ならたぶん十五時にはやること終わるから、それから一緒にやらないか?」


「是非是非! 終わったらフレ通に連絡下さいねっ!」


「おう、分かった」


「……では私はこれにて退散致します! ではでは。あっ、それとーー」


 そう言って実夜が荷物を持ち立ち去ろうとした時……。


 ピンポーーン


 と呼び鈴が鳴った。


「はーい」


 誰だろうと思いながらも扉を開けると……。


「こんにちはー! まだ実夜はいるよね?」


 そこに立っていたのは梨原なしはら立夏りつか。実夜の姉であり俺の幼馴染。


「あ、ああ。今から帰ろうとしてたところだがな。……それで、昼飯を食いに来た……ってわけでも無いよな。どうした?」


 嫌な予感を感じながらも要件を聞く。


「えっと、実夜にこれ渡してくれる? あとこっちの手紙も。じゃあ! よろしくねー!」


 そういって渡されたのは一つの大きな紙袋と一通の手紙。

 そしてそれらを渡したりっかはさっさと帰っていった。


 とりあえずそれらを持ってまだ実夜のいるリビングへ戻る。


「あっ、先輩。何でした?」


「りっかだったよ。それで、紙袋と手紙を実夜に渡してくれって」


「……何か嫌な予感がするのは気のせいでしょうか?」


「奇遇だな。俺もそんな気がしてる」


 そしてまずは紙袋の中身を確認すると。


 中から出て来たのはフツロとNDOのソフト。それに実夜の通学用鞄、及び学生服やパジャマなどの着替えだった。


『着替え』の中には勿論下着も入っているわけで……。


「だああああああああああ、先輩っ!? 向こう向いてて下さい!! 貴方は何も見なかった!! 良いですね!!?」


「あ、ああ。俺は何も見なかった」


 そう、白っぽいイメージだったのに実際は薄いピンク色だったことに驚いてなんていない。ちなみに結構可愛いやつだった。……勝負下着って奴か? などと童貞らしい思考をしていると実夜から合図がかかる。


「もう……いいですよ。先輩が見てはいけないものは全てしまいましたので……」


「あ、ああ……。それで、手紙ではなんて?」


「それは今から読みますね。えーっと……」


 二人横に並んで手紙の内容を確認する。


『私は実夜に一つ、謝らなければならないことがあります。


 あのさ。前からうちのお風呂って調子悪かったじゃん? それで、どうにかすれば直るんじゃね? みたいなノリで少し弄っていたらほんとに壊れちゃって、今、水しか出ないのね。


 ほんとゴメンっ!! 


 とりあえず母さんに連絡したら「しょうがないわね」ってことで、業者さんに頼むことになったのね。


 で、その業者さんが直しに来てくれるらしいんだけど、それがなかなか空いてないらしくて来週の水曜から金曜辺りになるらしいんだよね。で、それまでうち水しか出ないからさ』


 あっ……なんとなく先が読めてきたなー。


『奈月の家に一週間泊めてもらってくれる? 奈月のうちってこの一週間は母親も帰ってこないらしいからさ。


 ああ、大丈夫! ちゃんと母さんと父さんには説明してあるし、何だったら実夜が泊まってる間の食費はこっちで払ってもいいってから! 


 あっ、紙袋の底に避妊具も二箱入れといたから、ちゃんと使ってね! 因みに代金は母持ちなので心配しなくて大丈夫っ!! 


 じゃーそういうことで、奈月君によろしくして貰ってねっ! 』



「……………………」



「……………………」


 おかしい。この手紙の内容には俺の知ってる事実が何も含まれていない。


「どういうことじゃバカ姉ええええええええええええ」


「何故泊める側である俺に話がきていない……? というか丁度うちに母がいないらしいってなんだよ……どこ情報だ……?」


 すると俺の携帯が震えた。


 こんな時に誰だよ……。っと思って見てみると母からのCIRCLEが。


『実夜ちゃん。ちゃんと泊めてあげなさいよ? あと、今のところ次帰るのは来月後半くらいの予定だから、してね』


 ……何を安心しろって言うんですかねぇ。


「ふざけてんじゃねえええええええええええええええ」


 俺は思い切りスマホをソファーの上のクッションに向かって投げた。


 あっ、防音はしっかりしているから多少の叫び声は問題ない、そこは安心して欲しい。

 母曰く、『いつ連れ込んでも声漏れないから大丈夫よ』らしい。

 ……この母は大丈夫じゃないと思うけどな。



 それから一度深呼吸をして落ち着きを取り戻す。


 実夜を泊めるのは確定事項らしい。となると問題は……。


「……とりあえず、部屋はどうするか」


「部屋は余ってるんじゃないですか?」


「あー、あるにはあるがな。母さんの部屋は絶対に開けてはならない、というか鍵が掛かっていて、入れるとしたら死んだ父さんの部屋なんだが……」


「別に掃除もされて整理もされているなら気にしませんよ?」


「えーっとなぁ、今、父さんの部屋は物置き代わりになってて、片付かない」


 そう、今はオフシーズンのため使っていないストーブやら炬燵やら、あとは既に解体した、使っていないベッドなどが置いてある。


「……一応聞きますけど、他に部屋は?」


「リビングと俺の部屋くらいだな……。布団は客用の布団が二セットあるから大丈夫だが」


「でしたら仕方がないので私がリビングで……」


「俺がリビングで寝るから、俺の部屋使ってくれ」


「えっ、流石にそれは先輩に悪いですよ。先輩が自分の部屋を使うのは確定事項ですので!」


「そうは言っても客をリビングで寝かせるのはなぁ。やっぱり俺がリビングで寝たら良いんじゃないか?」


「だからそれは駄目ですってば。そもそもうちの馬鹿姉のせいでご迷惑を掛けているわけですし」


「なら二人で俺の部屋に寝るか?」


「あぁ……なるほど。それなら問題ありませんね」


「えっ」


「えっ? 問題……ありますか? 布団二つくらい敷けるスペースありましたよね?」


「いや、倫理的にどうなんですかね?」


 あまりの対応につい敬語になってしまう。


「でも先輩が言い出したことですよ?」


 いや、冗談だって分かれよ! 


「あっ、こんなこと話してたらNDOやる時間なくなっちゃいますよ!! ささ、早く布団敷いちゃいましょうか。布団何処にあるんですか?」


 そんなこんなで結果的に俺の部屋に二人寝ることになった。因みに夜に抜け出してリビングで寝ることも視野に入れている。


「とりあえず布団は敷けましたね。ちょっと狭いかもしれませんが、まあ大丈夫でしょう」


 布団を敷けた、とは言っても元々一人部屋で机やタンスもある中で布団を二つ敷こうとすると、どうしてもギリギリまでくっつける形になってしまった。


 ああ、これは夜抜け出すことは確定かな……。仮にも客観的に見て美少女である後輩と並んで寝る度胸は残念ながら俺には無い。


「じゃあ準備もできましたしダイブしましょうか」


「ああ。とりあえずソロでやること終わったら連絡するわ」


「了解です! ……っとその前に、あの、トイレ借りてもいいですか?」


「ああ、場所は……知ってるか。じゃあ俺は先にダイブしてるから」


「はーい」


 そしてまた、NDOにダイブインした。



 さてさて、やってきました西の森。昨日は戦闘スキルだけ確認したから、今日は残りの生産スキルとその他スキルだな。


 ……と思っていたのだが、どちらも詳細を確認するだけで終わりそうだ。戦闘スキルのような《アーツ》が見当たらない。


【料理】

 料理に追加効果が付与される。レベルが上がると追加効果の種類が増え、効果が上がる。


【調合】

 調合ができるようになる。レベルが上がると調合によって作れるアイテムのRankが上がる。


【鑑定】

 物が鑑定できる。レベルが上がるほど手に入る情報が増える。


 種別:使用可能技能


【暗視】

 暗いところが見やすくなる。レベルが上がると遠くまで見えるようになる。


 種別:常時発動技能


【解体】

 魔物討伐時、通常ドロップが無くなる代わりに部位をドロップする。取れる部位は戦闘中傷つけなかった部位に限られる。レベルが上がると細かい部位が取れるようになる。


 種別:常時発動技能



 うん。大体想定の範囲内だった。【解体】によって通常ドロップが無くなることは驚いたが。


 予定よりも早く終わってしまったな。とりあえず実夜に連絡……いや、少しスキルレベルを上げてからにしよう。


 ということで、森を散策しながら魔物を狩りまくる。

 弓で足を射抜いてから走って近づき思い切り殴り飛ばす。大体この手順で倒せる。

 この手順を使うと【弓】【拳】【足捌き】【解体】あと時々【立体移動】にも経験値が入る。


 そんな様なレベリングを一時間半程続け、時間は三時前になっていた。

 この一時間半でそこそこレベルが上がり、キャラクターレベルはLv6、スキルレベルも全体的に2〜3レベル程上がった。


 そろそろ実夜に連絡しとくか。


『Lua:一人でやることとりあえず終わったけど、どうする? なんか一緒にやるか? 』


 するとすぐに返事が返ってくる。


『YAMI:やりましょー。とりあえず街の噴水広場集合ってことで良いですか? 』


『Lua:おう、分かった。今から向かう。まだ西の森だから少し時間は掛かるかも』


 と打ってから町の方へ駆け出す。なぜ走るのかというと、実夜に早く会いたいから……では勿論ない。【足捌き】が走るだけでも上がると分かったためだ。


 噴水広場に着くと、既に実夜が待っていた。


「あっ! ルアくーん。こっちです!」


 と言って少し跳ねながら手を振ってくる。なおいくら跳ねても胸は揺れな……なんか今凄い睨まれた気がする。


「今……何か失礼なことを考えましたね……? 若干視線が顔より下を見ていた気がしますが……?」


 えっ、そんなん分かるもんなのか……? 


「ルア君の考えてることくらいは分かりますよー? 長い付き合いじゃないですかー。


「はぁ……。俺にはお前の考えてることがさっぱり分からないけどな」


「えー? 私からの駅デートのお誘いを自信満々で荷物持ちと言い切った人の台詞とは思えませんねー」


 いや、あれは分かるだろ。


「話しは変わりますが、ルア君。これから、西の森のエリアボスを倒しに行きませんか?」


「エリアボス? あの動画で倒してた奴か?」


「ええ、そうですね。《ファイティングビッグベア》二本足で立って蹴りやらパンチやらを繰り出してくる大きい熊です」


「二本足で立って蹴りとパンチが攻撃手段……? いやそれ熊じゃなくねぇか? 

 そもそもレベル的に難しくねぇか? たしか動画だとLv13の人を加えた四人パーティーだっただろ?」


「初戦のボスは強いんですけど、一回誰かに倒されたボスは弱体化するんです。私のレベルが今12ですのでたぶんいけるんじゃないですかね?」


「へー弱体化するのか。……ってお前もうLv12まで上がったのか。だいぶ俺が足手纏いになりそうなんだが」


「先輩なら大丈夫ですよ。最悪、回避壁という名の囮役でも役には立ちますし」


「それは本当に最悪だな。まあ一応前出て戦えるスキルも取ってるし、最悪壁役でも良いか」


「ああ、そういえば弓闘士でしたっけ? 弓と、あと何を使うんですか?」


「弓と拳だな」


「なんていうか……先輩やっぱり変態何ですか?」


「おい、どうしてそうなった? ソロなら近距離と遠距離両方に対応するのが普通なんじゃないか?」


「……普通はメイン物理のサブに遠距離だと思いますし。メイン遠距離にしても普通のプレイヤーは【拳】は選ばないと思いますよ? β版では【拳】スキルは不遇スキルとして有名でしたから」


「そりゃまたどうしてだ? サブとしては武器も必要無いし良さそうなんだが」


「えっと、主な理由としては『殴打』判定ダメージが弱点の魔物は発見されてなく、逆に『殴打』だとノーダメージの魔物は発見されていることですね。


 剣なら『斬撃』、矢なら『刺突』、棍棒なら『打撃』判定なんですけど、素手だけは『殴打』なんですよ。何かしらの武器を装備していれば、ダメージを全く与えられないというのはレイス系以外に対しては無いので、サブに入れるとしても基本何かしらの武器スキルを入れますね」


 通常攻撃が効かない敵がいるとは……随分と致命的じゃないか? ……今からでも変えるべきかもなぁ……。


「なるほどなぁ、何かしら新しいスキルでも手に入ったら考えるわ」



 それから二人で西の森のエリアボスのいる場所へ向かう。実夜が事前に調べてくれていたため、迷うことなく辿り着いた。


「……あそこにいるのがエリアボスか? 随分とデカイな」


「ですねー。とりあえず始めに四肢の部位破壊をしてから目を狙っていく形でいいですかね?」


「おう、分かった。でも弓で部位破壊ってできるのか?」


「できますよ? このゲームって魔物の運動神経とか感覚神経まで作り込まれてるらしくって、しっかり切るとこ切れば動かなくなるんですよ」


 なるほど、一定のダメージとかじゃなくガチで内部破壊するのか。


「でもそれってかなり精密な射撃じゃないと無理じゃないか?」


「そうですね。私はβ版で慣れたから余裕ですけど」


「実夜にできるなら俺にできない道理は無いな。暇な時に練習するかぁ」


「先輩頑張ってくださいね。先輩の活躍によっては弓が不遇武器という見方が変わる可能性もありますので!」


「ちょっと待て。弓って不遇武器なのか?」


「そうですよ。理由としてはまず、DEXによる命中補正も少ないので上手くならないとそもそも当たらないです」


 あっ、それは思った。さっきレベリングの時に初めて矢の当てにくさを知ったわ。


「加えて弓矢の攻撃力は弓に張る弦の強さと引っ張る長さで変わりますから、他の武器と違って単純にSTRが高ければダメージが増えるというわけでは無いので、『レベルをただひたすら上げて無双する』といったことができない武器です」


「なら何故お前は弓を使っている……?」


「β版で使っていたのでDEXに振らなくても当たるようになりましたし、前によくしてくれていた生産系の人もいますから。それに攻撃力にSTRの補正が掛からない分、弓矢って素の攻撃力はトップクラスに高いんですよね」


 つまりpsプレイヤースキルが高いし、武器を変えることによる攻撃力の向上も当てがあるから弓矢のデメリットは殆ど無いと。


「因みに『初心者用の弓』ってどうなんだ?」


「STR1でも少し引くくらいはできる、弦はそこまで張っていないものですね。これだと目一杯引いてもSTR30の鉄剣と同程度でしょうね」


 鉄剣とは剣士系初期装備の石剣より一つ上のランクの武器だそうで、先程実夜が言ったのはSTR30の人が振る鉄剣と同程度、という意味だ。序盤だと瞬間火力は割と高いようだ。


「それなら現時点では『初心者用の弓』で大丈夫そうだな」


「そうですね、それにまだ素材も木しか無いでしょうし、糸も少ないと思いますから」


 まだ生産体制が整っていないわけか。


「じゃあエリアボス倒しに行くか」


「ですね! とりあえずこちらに気付いてない今のうちに右足の腱に一発ぶち込みますね」


 実夜は嬉々としてそう言った。


 ……気付いてない奴の腱を射るってどうなんだとも思ったが、それ以上に嬉々としてそれを行おうとする実夜が少し怖いと思った。

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