フナイ様
知らない番号から着信があった。いつものように無視しようとも思ったが、私の住所に妙に近いので、何かあるかもしれないと思い、折り返し電話を掛けたのだった。
電話の主は配送業者で、私が名乗ると怪訝そうな声で聞くのであった。「失礼ですが、フナイ様の携帯ではいらっしゃいませんか?」と。私はフナイではない。こちらは開口一番に名乗っているというのに、自分は名乗りもせず人の名前を疑うとは何事かと思ったが、相手にするだけ時間の無駄なので、フナイではないことだけを告げて電話を切った。
これだけなら良くあることだろうと思うが、一年前にも全く同じことが有った。同じ配送業者だったかは覚えていないが、その時もフナイではないかと聞かれたのだった。恐らく、フナイという慌て者が、何かの登録に電話番号を誤って記入し、それが偶然、私の番号だったということだろう。
一年越しに謎が解けた私は、すっきりした気分で着信拒否にするのであった。
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