架空

 具体的にいつまでだったか覚えていないが、狐と狸を架空の生き物だと思っていた。その二匹が出ない地域だったのもあるが、人を化かす能力があるということで、子供心に胡散臭いものを感じていたに違いない。聡明な子供である。肝心な知識が抜けていなければ。

 同じ話題で、トナカイを架空の生き物だと思っていた、というのを聞いたことが有る。これも言うならば私と同じで、サンタの存在を訝しんでいて、そのついでに空飛ぶ四足歩行も一緒くたにした、とのことだ。

 馬鹿な話だと一蹴すべきだろうか。あれから月日が流れたが、狐も、狸も、トナカイも、この目で見たことは無い。それなのに実在すると確信している。これは何か重大なものを失ったのではないだろうか。

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