厄介者

 自らの行動を正しいと思い込んでいる人ほど厄介な者は無いが、それが一般的に見て正しければより凶悪である。こんなことを何度も言いたくはないのだが……。


 例えば、Aという人物が、私とBとを引き合わせようとしているとする。Bという人物は、私にも、Aにも、縁のある人、まあ恩師か親戚だと思ってくれたら良い。三人集まって茶でも飲みながら近況を報告しようというのだ。その行為は誰にでも肯定されるものだと私も思う。

 ところが、私にも事情はある。有り体に言えば会いたくない事情が。まともな生活をしていないので、どの面下げて会いに行けばいいのか分からないかもしれない。時間の都合もあるだろう。単に人と会いたくない性質の人物ということもある。

 そういうものを無視して、今お前の話をしている、早く来いというのは、些か乱暴ではないだろうか?

 真っ当な主張をしているつもりだが、世間様の言うところには、私が薄情者ということになるらしい。つまりは、この話が来た時点で私はもう、どうしようもないくらいに被害を受けているのである。親切な善人の手によって。


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