蝙蝠
まだ頭も覚めぬ早朝の事である。ゴミを捨てようと外に出たのだが、家の前にある木に何かがぶらさがっているのが見えた。鳩か雀かと思ったのだが、もしそうであるならば枝の上に居るはずだ。鳥ではありえない。よく目を凝らしてみると、そいつは蝙蝠であった。既に日は出ているし、私も生活の一部を始めているというのに、なんと暢気な奴だろう。
私の家の周辺は、特別に蝙蝠が多く生息しているわけでもない。遠くの空を飛んでいるのを何度か見掛けたぐらいで、こんなにも間近に、しかも日の出ているうちに見るのは初めてで、思わずじろじろと舐め回す様に見てしまった。そうして観察した蝙蝠は、はっきり言って気味が悪かった。虫の様な羽に、鼠の顔がついている。人を脅かすためだけに生まれてきたのではないか、と思うほど不快な格好をしていた。私は背筋に冷たいものを感じて、集積場まで無心で走った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます