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「エアーズロック」。空を支配するその岩石は、遥か上空を浮いていた。だが、問題ではなかった。空を飛ぶ能力はとうの昔に身につけていた。飛ぶ、というよりは、浮遊、と表現するのが適切か。あっという間に「岩」の上に到達。下面や側面しか見えていなかったが、上面も「岩」そのものだ。灰色の岩肌。僕は幼少期に図鑑で見た小惑星を思い浮かべた。そうだ、実際にこの母船も小惑星そのものなのかもしれない、と、そう考えた。とてつもなく大きな宇宙の岩石。敵はそれに寄生するようにして宇宙を漂っていたのかもしれない。そして偶然にも辿り着いたのがこの星だった、と。「だがそれでは多くのことを説明できない」という【ナレッジ】の言葉は、何故か今でも頭に残っている。そうして僕が攻撃・破壊系の能力を全て使おうとした時だ。僕のものではない、別の足音がした。僕には聞き覚えがあった。「お疲れ様」と、フードを被った女の子が言う。北条沙雪だった。

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