第22話

『さて、これで全員分の武器が出来たな。

防具はどうするかな…

父さんと母さんは使い慣れてるのが有るだろうし、ドラゴも冒険者だから持ってるだろう。

俺の分と、サラの分でいいか。

あと、エリカには防具じゃなくて服を作ろうかな。』

侑はサラの防具に関して、作りたいデザインがあった。

エリカには散歩するのに良さそうなアウターを考えていた。


『サラは気にいるかな…

人と違うのが好きだから、多分ハマると思うんだけどな。』

侑の考えていたデザインは弓道の道着を細身にしたデザインで、袴をガウチョパンツの様なスタイルにした。

色は白と紺にしたかったが、薄い緑系にした。

全体を護るプレートは弓には邪魔になりそうなので、流鏑馬のイメージで心臓を護るプレートを作り服に付加魔法で物理攻撃と魔法攻撃の軽減を付ける事にした。


『弓は渡したけど、矢を渡してないな…』

矢を軽い金属のイメージで、矢筒に自動で戻ってくる付加魔法を付けた。

使い手の魔力で属性を付加出来る様にカスタマイズする。


『エリカに渡す服はパーカーが良いかな…

こっちの世界にもフードがついてる服はあるけど、コートっぽいのが多いからショート丈のパーカーがいいな。

色は白にして、草花柄を緑色で刺繍っぽく入れるか。』


『あとは、俺の防具か…

防具要らないな。

重くなるのは嫌だし、動きが制限されるのもやだな。

俺もパーカーにしようかな。

付加でサラと同じ感じにするかな…

ロング丈で、色は黒にしよう。』



侑は一通りの物を作るとパーカーを着てリビングに向かった。



リビングではサラとエリカが侑の作った武器を見せっこしていた。


「サラ、これを渡すの忘れてたよ。」

侑はサラに矢の入った矢筒を渡した。


「落ち着いたら、頼みに行こうと思ってたんだ。

ありがとう。」

「矢は使い捨てじゃないからね。

自動で矢筒に戻ってくる付加を付けといた。

あと、サラの魔力で属性を付加することが出来るから色々試してみて?」

「勝手に戻ってくるの?

そんなことまで出来るんだ…

属性は色々試してみてるね。」

サラは矢筒を受け取ると、矢がどうやって戻ってくるのか色々考えた。


「あと、防具なんだけど…」

侑はサラに恐る恐る渡した。


「気に入らなかったら、そのへんに置いておいて。」

「なにこれ?

防具って、服じゃないの?

胸のプレートしか無いよ?」

「弓を使うのに動き辛いのは良くないかなって。

服に物理攻撃と魔法攻撃のダメージ軽減を付加したよ。」

「ちょっと着てくる。」

サラは気に入ったみたいで、バタバタと部屋に走って行った。


「エリカにはこれ。

火傷にどんな影響が出るか分からなかったから、普通の服だよ。」

侑はエリカに着てみる?と肩口を持って背中側にまわった。


エリカは袖を通すと窓に映る自分をクルクル回って見ていた。


「気に入ってくれた?」

侑は回りすぎてよろけたエリカを抱き支えてフードを被せた。


「うん、すごく気に入ったよ。

侑、ありがとう。」

エリカは支えていた侑に寄りかかった。


「あとで、一緒に散歩しようか?」

「うん、散歩しよう。」

エリカは満面の笑顔で侑に答えた。


気付くとサラは部屋の隅で声をかけ辛い感じで立っていた。


「サラ、着た感じはどぉ?」

「フォルムは可愛いんだけど、ちょっとシンプルかな。

私もエリカみたいな刺繍を入れて欲しかったな。

刺繍はエリカだけの特別なの?」

サラはちょっとイタズラに聞いた。


「サラがどんな刺繍が良いか分からなかったからね。

デザインを言ってくれれば、入れられるよ?」

「うんとねー、ファイアーパターンがいい!

中から外に向かって、茶色でお願い。」

侑はサラの両腕を掴むと、カスタマイズを発動して服にファイアーパターンを入れた。


「腕を掴まれた時は何されるのかと思ったけど、一瞬だね。

凄い便利なスキルだね。」

サラは刺繍をニコニコしながら見ている。


「ドラゴが武器を試しに湖畔に行ってるけど、どうする?

サラは試しに使ってみなくていいの?」

「えっ?ドラゴは湖畔に行ったの?

どうも見ないと思った、ずっとラボに居るのかと思っていたよ。

私も弓はブランクがあるから、行ってみるよ。」

サラは矢筒を背中に背負うと湖畔に向かった。


「エリカ、散歩に行こうか。」

「うん、行こう。

何処に行くか決めてるの?」

「湖畔だよ、みんなの動きも見たいし。」

「カニが居るんでしょ?

私が行っても大丈夫なの?」

「大丈夫だよ、エリカは俺が守るって言ったでしょ?」

「うん、じゃ行く!」

エリカは侑の腕に手をまわした。


庭に出るとラピスとルビーがどっか行くのと付いて来た。


「湖畔に行くよ。

カニが食べれるけど、オニキスはどうする?」

侑は屋根で寝ているオニキスに声をかけた。


「眠いけど、お腹もすいたニャー。

気が向いたら行くニャー。」

オニキスはアクビしながら返事した。


「じゃ、気が向いたらおいで。」

侑とエリカは腕を組んで湖畔に向かった。

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