第12話
「どれから、試しますか?」
バトラは両手剣のバランス等を確認しながら、侑を促す。
「ショートソードはナタと変わらないので、ロングソードからにします。」
侑はロングソードを握り、振ってみる。
…想像より軽いな。
「何時でもどうぞ。」
バトラは剣を中段で構えた。
「宜しくお願いします。」
侑はバトラの剣の一番厚い所を狙って水平に振り抜いた。
『キィーィン』
バトラは態と侑の剣を受け止め、剣をスライドして刃こぼれしない様に流した。
「良い太刀筋です。」
バトラは全くの素人だと思い込んでいたので、剣筋に感嘆した。
「いきます。」
侑は同じ場所を狙い、今度は振り抜かず軌道を変えるように剣の位置を戻す。そして、地面スレスレの所から上に剣を振りぬく。
バトラは受け流せぬと判断し、バックステップで避けた。
「侑様、今の動きは何ですか?
本当に戦闘経験は無いのですよね?」
バトラは驚きを隠せない。
「戦闘経験は無いです、ほぼ寝たきりだったのでロングソードを実際に持ったのも初めてです。」
侑は向こうの世界でどの様に過ごし、ネトゲで使っていたキャラの技をやってみた事を話した。
「10年間もベッドの上で…
あなたは遊んでいただけだと言いますが、
それはイメージトレーニングを欠かさず行なっていた事になります。
それなら、この太刀筋も納得です。」
バトラは侑の生活を垣間見て、納得した。
「侑様、剣を交えて思った事が有ります。
此方の武器に持ち替えて頂けますか?」
バトラは侑に日本刀を手渡した。
「日本刀は両手で持つイメージが有るかと思いますが、それは間違いです。
本来、片手で使う物なのですが使用者の力量が足りず二本持つ事が出来なかったのです。
二本持つ者との差を埋める為に両手で持ち、剣速や斬撃を昇華させたのです。」
バトラは日本刀の扱い方を説明し、片手で持つ様に指示した。
「片手で太刀、もう片手で脇差しを持つ二刀流がオーソドックスなスタイルですが侑様は太刀だけで片手は空けておいて下さい。
ナタを扱うのと同じイメージでお願いします。」
バトラは戦闘スタイルまで指示した。
「それでは始めます。」
今度はバトラから仕掛けた。
上段からの振り下ろしを峯側で受け流し、下りきったバトラの剣を侑は叩き落とした。
…両手剣より馴染む気がする、しかも剣速が早い。
侑は自分のスタイルはこれに近いものと考え始めた。
バトラは痺れた手をブラブラと振りながら
「お見事です。」
自分の思ったスタイルがピッタリハマったので、満足な顔をしている。
「これだけの立ち振る舞いが出来るのであれば、暫くは近接武器をオススメします。中遠距離はミチル様にお任せして、パーティを組むようになったら考える方向が良いのでは。」
バトラは武器を仕舞いながら、侑に提案をする。
「地を這うように動くモンスターの対処に煮詰まっているんですけど…」
侑はバトラに武器の方向性で悩んでる事を伝えた。
「ナタでは刃渡り的に厳しいですね。
でも、太刀位の長さが有れば問題は解消すると思いますよ。」
バトラはカバンの中をガサゴソいじりながら、答えた。
「これを見て下さい。
エルフとドワーフのハーフの戦士が作った武器なんですけど、侑様のお役に立つかなと。」
侑の前に出された武器は金属で出来た弓の様な物だった。
「弓ですか?
でも、金属だからしならないし。
弦も無いですね。
どう云う武器ですか?」
侑は初めて見る武器に興味津々だ。
「これは戦弓と呼んでいましたね。
打撃系の武器として使い、弭(ゆはず)の部分に魔力の弦を張り魔法の矢を飛ばすというマルチタイプの武器です。」
バトラは説明しながら、弓を構える。
「面白い武器ですね。」
侑は何か閃いたみたいだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます