第10話
「侑様、早くー!」
ミチルがダイニングで騒いでる。
侑はカニ料理をダイニングに配膳すると、ミチルは待ちきれなかったのかガツガツ食べ始めた。
侑は微笑ましくミチルを見ながら、侑もカニ料理を食べ始めた。
カニは甘く、肉繊維からホロホロとほどけ口の中いっぱいに旨味が広がった。
全てのカニ料理が美味しかったが、一番気に入ったのは焼きガニだ。
これはミチルも同じ意見みたいで、焼きガニはあっという間に無くなった。
「美味しかった!お腹いっぱい!」
ミチルは満足そうだ。
侑は残ったカニ飯をオニギリに、天ぷらを天むすにした。
カニの味噌汁は明日の朝、雑炊にして出してあげようかな…
侑は片付けをしながら、残りで作った物をインベントリにしまった。
このインベントリは便利なんだけど、中に何がどれ位入ってるか分かるようになるともっと便利だな。
あとで、カスタマイズで改良してみるかな…
とりあえず、風呂に入るか。
侑は湯船に浸かりながら、カニとの戦闘を思い出していた。
俺のナタは刃渡り30センチ弱、地面を這うように動くカニは攻撃し難かった。
多分、カニに限らずトカゲや蜘蛛の様な生態の者も同じ状況になるだろう。
魔法攻撃だと、今のままでは発動する前に逃げられる。
ティーターン様にも云われていた事だし、戦闘に対して深く考えて居なかった自分を反省する。
では、どうするか?
対象毎に武器を変えるか、マルチな武器を作るかどちらかになるだろう。
日本刀は対人戦に向けて作られている為、地を這うように動く者には向かない気がする。
というより、ハンマー以外は近接武器自体が向かない気がする。
かといって、中遠距離の武器では足元まで来られると攻撃出来ない。
対象が一種なら、武器を選べば良いが多種だったらどうする…
俺には戦闘中に武器を切り替える器用さは無い。
だとすると、俺の作るべき武器は後者のマルチな物になるな…
風呂から、上がった侑はエアーを発動して身体を乾かした。
昨日よりも、発動するまでのタイムロスが少なかったな。
…一度イメージを固める作業をすると、二回目からは早くなるのか?
明日、検証してみよう。
脱衣所の外でミチルはイライラしている。
「なんで、声をかけずにお風呂に入ってしまうのですか?」
「心配するじゃないですか、しかも長いし。」
「ごめん、考え事してた。」
侑はダイニングでお腹をさすって動かないミチルを見ていたが素直に謝った。
ミチルを連れてラボに向かう。
「何か作るの?」
ミチルは興味津々で尾羽を上下させている。
「スマホみたいな端末を作ろうかなって。」
「スマホ?何それ?」
「携帯電話の進化した物なんだけど、掌位の大きさで液晶画面が色々な情報を映し出す物だよ。」
「ふーん。」
ミチルはイメージが浮かばないのか、空返事をした。
侑はスマホのイメージを固めて、クリエイトを発動した。
魔法陣に手を入れ、取り出した魔導具は6インチのスマホのイメージ通りだった。
ミチルは何に使うか分からずに、首を傾げてる。
「何て名前にするかな…スマホの様な、ステータス等を見る道具。」
「スマステで良いか。」
ネーミングセンスと知力は比例しないらしい、侑は自傷気味にクスッと笑った。
侑はスマステを手に持ち、カスタマイズを発動した。
所有者登録、動力源は侑の魔力、侑のステータスをリンク、インベントリとのリンク及び所持一覧フォルダの作成、自動更新、各情報の呼び出しアイコンをホームに追加。
思い付くものをどんどん追加していく。
スマステに魔力を流し、電源が入った。
画面は青く光り、アイコンが浮かび上がった。
今表示されているアイコンは、体とカバンと歯車の三つだけだ。
「徐々に増えればいいか。」
ミチルに画面を見せながら、侑は体のアイコンをタップした。
画面が切り替わり、ステータスが表示された。
名前 侑
種族 人族?
レベル3
体力 200
魔力 200
知力 340
ユニークスキル クリエイトLv2
スキル
ラーニングLv1
ランゲージLv2
鑑定眼Lv1
カスタマイズLv2
水魔法Lv2
風魔法Lv2
各状態異常耐性
即死耐性
創造神の加護
地神の加護
ミチルは画面を見て驚いてるのか、侑のステータスを見て驚いてるのか羽毛が逆立っている。
「やっぱり、スキルはレベルアップしても痛みは伴わないんだな。
気付かなかったけど、魔法以外もレベルアップしてる。」
侑はスマステの出来に満足したのか、あとは明日にしようと今日は終わりにした。
「ミチル、今日はもう寝よ。」
ミチルは欠伸しながら侑の肩に乗った。
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