おいしい

 ある日を境に、美味しいという感情が自分から無くなった。

 今まで美味しいと思っていたものでも、特に何も感じない。

 別に全部がまずいというわけじゃなく、美味しいというものだけが欠落してしまった。


 最初は別に平気だと思ったけど、段々と耐えきれなくなる。

 食欲は、人間の三大欲求の一つだ。その為、食べるという行為は快楽を伴う。

 しかし、それが無くなった。

 だから私は、生きていくために必要な何かを持っていない。

 それは、すでに死んでいるも同然なんじゃないか。

 時々、思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る