行列

 深夜に近い時刻。

 仕事を終えて家に帰っていた私は、前方に人が沢山いるのに気がついた。

 一列にきちりと並んでいて、誰もが静かに下の方を見ている。

 何の行列なんだろうか。

 私は不思議に思って、列の後ろにいる人に話しかけた。

「あの、すみません」

 しかし返事は無い。

 無視をされたというよりも、私の声が聞こえていないみたいだ。

 そうだとしたら怒るわけにもいかず、もう一度今度は大きな声で話しかける。

「すみません!」

 それでもやはり、返事は無い。

 あまりにもおかしな状況に、私は薄ら寒いものを突然感じて、その場から離れた。

 帰っている最中も、誰も話すことなく動きもしていなかった。


 その日以降、二度と同じ様な行列を見ることは無かった。

 あの人達は、一体何を目的として並んでいたのか。今はもう知る術はない。

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