前触れ

瀬川

いつもいる

 私が自分の部屋から外を眺めると、いつも同じ場所に同じ人がいる。

 特に、何か不審な事をしているわけではない。

 ただ空き地にある大きな木の傍に立って、空を見ている。

 昼、夜と関わらず変わらない。

 私は外を見る度に、その男の姿を確認して、少しぞわぞわとした気分になる。

 見た感じは良い人だけど、これからは分からない。

 もしかしたら、何か危ない事を考えている可能性だってある。

 そんな空想に浸りながら、楽しむのが最近の楽しみだ。

 そうそう事件なんて起こるはずが無いのだから、良い暇つぶしになる。


 何だか視線を感じる時があるけど、きっと気のせいだろう。

 それこそ自意識過剰とか、被害妄想というものである。

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