第36話
「情報が無さ過ぎです……。打倒ホワイトの方法は思いつきません! 以上!」
「ええ……」
リリスの発表にアルカ、シェルド、アロワの三人は落胆のため息をこぼす……。
「ちょ、ちょっとそんな顔しないでちょうだい! 大体、敵の本拠地もまともにわからないのに……。アロワさん! 敵の本拠地くらい教えてくださいよ!」
「い、いや……聞かれなかったし……。知っているのかと……」
「師匠! 脳筋のアロワさんに気のきいたことはできません!」
「あんだと、コラ!?」
「ちょっと、アルカちゃん悪口はやめなさい! 申し訳ありません。アロワさん……」
「次、舐めたこと言ったら、お尻ペンペンだ。クソガキ……!」
「わたしは、ガキじゃありません! 今年十八歳になるんですから……!」
「えっ!?」
シェルドがアルカの発言に驚きを隠せず、目を丸くする……。
「アルカさん、僕より年上だったんですか!?」
「な、何を言ってるんですか、シェルドくん! どう見てもあなたより年上でしょう!」
「い、いえ、申し訳ないんですが、僕より年下だと思ってました……。いってて十五歳くらいかなあ、と……」
「な、な……。じゃあ、なんで私のこと『さん付け』でシェルドくんは呼んでたんですか!?」
「そ、それはもちろん、僕の姉弟子ですし……」
「人間で十八ってことは……ダークエルフの百八十歳くらいか……。とてもそうは見えねえな……。やっぱり見た目クソガキだし……」
アロワが口を挟む……。自分の見た目年齢が信じられないアルカはリリスに確認を求める。
「し、師匠……。わ、私、十八歳に見えますよね……?」
「ごめんね、アルカちゃん……。私も多めに見積もって十六歳くらいだと思ってたわ……。アルカちゃん背も低いし、童顔だし……」
「そ、そんな……」
アルカは絶望した表情で視線を落とし、地面を見つめる……。落ち込んだ様子のアルカを見て、リリスはすぐにフォローの言葉をかける。
「アルカちゃん、別にいいじゃない! 年下に見られたって! みんな、いずれ年を取って行くの! 若く見られている方が得よ!」
「し、師匠……」
リリスの言葉にアルカが慰められている中、アロワが水を差す……。
「若く見られるのと、幼く見られるのはベツモンだけどな!」
「うわぁあああああああああああああ!」
アルカがアロワの双肩を掴んで、揺さぶる……。アルカはうっすら目に涙をためているようだ……。
「ちょ、ちょ、アルカちゃん!? 落ち着きなさい!」
リリスはアルカを羽交い締めにして、アロワから遠ざける……。アルカから解放されたアロワは揺さぶられた首を確認するように後頭部を触る。
「ったく、見た目なんてどうでもいいだろ。今はどうやって、純王国ホワイトを倒すかが問題だろ? そのために、人間のお前らと魔王である私が組んでるんだからな!」
「うっ。うっ。そ、そうですね……」
「な、泣く程のことかよ……」
リリス達がしょうもないことでひと悶着起こしていると、客人用テントの中に一人の狼型獣人が慌てた様子で入って来た……。アロワの側近ドグである……。
「ドグ、どうしたんだ?」
「そ、それが……、『純王国ホワイト』の国王『ルーク』が……この集落に……」
「なんだと!?」
アロワはテントを飛びだし、外に出る……。アロワの後に続くようにリリスたち三人も外に出た。集落の入り口に視線を向けると、そこにはひと際目の引く装飾を施された白馬と、それに乗る若いホワイトエルフの男がいた。多数の軍勢を従え、先頭を陣取るその男が口を開く……。
「久しいな。南の魔王アロワ……」
「ルーク……」
アロワにルークと呼ばれたホワイトエルフの男は下卑た笑みで口を歪めていた……。
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