第38話ガルシア、刑執行までのカウントダウン。
「とっくに起きてるんだろ?ガルシア。いい加減出てきたらどうだ?」
なんだ?
そう棺に向かって魔王がいい笑顔で言い放つと、ごとりと棺の蓋が開いて中からガルシアが出てきた。
棺の中で立ち上がったガルシアは居心地悪そうに目をきょろきょろさせている。
「おまえ、いつから起きてたんだよ……」
さては見計らったな?
魔王の罰なんざ誰も受けたいとは思わねーしな。
「あまり疑ってやるな。起きたのはリーナがお灸を据えたらどうかと聞いたあたりだったからな」
おい、やっぱり計ってたんじゃねーか。
何が疑ってやるな、だ。
顔をしかめて魔王を見やればニヤリとこちらを見ていた。
ほほう。
私はそれを見て理解した。
わざとか。
魔王よ、お主も悪よのぉ。
ガルシアに目を向ければ、尋常じゃないほどの汗で毛がペタンとしている。
ガルシア、おまえ随分やせたなぁ。
毛が濡れてるとこんなにも痩せて見えるのか。
「良かったですね、ガルシア。陛下からのお咎めは無しで」
リーナがそう言うと、ガルシアは強張った肩の力を抜いた。
「ですが、代わりにお嬢様が陛下を越えるほどの恐ろしい罰が下されることをお忘れなく……」
ふふふとリーナが悪魔のような笑みをガルシアに向ければ、再び身体がガチガチに強張った。
ちょっとかわいそうになってきた気がしないでもない、でも許さん。
だって私は心の狭い女の子だもの。
「おい真白よ」
ビクッ!
………魔王に初めて名前呼ばれてビックリしたわ!
「………なんだ?」
「もう、罰は決まったか?」
ビクリとガルシアが一瞬身体を震わせた。
ふむ、どうしたものか。
あっ、いいこと思いついたゾ!
「読み書きできる者なら誰でもいい。誰か私に読み書きを教えてくれないか?」
それを聞いた三人はきょとんとしていた。
『何言ってんだ?』、『罰は?』というような困惑した表情がうかがえる。
大丈夫だって安心しろ。
だってこれが後にガルシアへの罰につながるんだからな。
私はガルシアへの罰を執行したときの表情を思い浮かべ、
あぁ、実に楽しみだ。
ニヤリと笑ったのだった。
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