第21話人間の少女はいつでも怠惰に楽して生きたい。

目の前には一枚の白い紙と羽のペンがある。


ペンを握って今更ながらに気づいた。


食事中に窓を突き破った際についた、細かな傷が治っていることに……。


おそらくだが、入浴中に私が放心状態になっている時にリーナが治してくれたのだろう。



多分、魔法だな。



まぁ、それは置いといて。



目の前に置かれた紙とペン。



これは、リーナに頼んで用意してもらったものだ。


異世界を楽しむためのやるべきことを整理するためである。



そして、紙の一番上にまずこう書いた。


『異世界怠惰生活~楽して楽しんで帰還する~』


うむ。


実に甘い考えである。


それは重々理解している。


チートだったらいけたかもしれない。


だが、私の身体にはそんな変化は現れてもいない。


神よ、一体なぜ私はここにいる⁉︎


思わず問いたくなる状況である。


……まぁ、まだ2日しか経ってないしな。


とりあえず、乞うご期待! といことで。


チートじゃなくても楽して生活できないだろうか?





ピロン。




突然、脳内に高い音が響いた。


『称号 堕落魔王を取得しました。これは、何もしなくても周りが勝手に動いてお世話をしてくれます。勇者との戦闘においては、怠けることでより称号の力を発揮し、仲間に強力な力を与え、仲間が勇者を退治してくれます』


おぉー! めちゃくちゃいいじゃねーか!




………はい、ただの妄想です。


実際には脳内に何も響いてないし、称号も取得してません。


今後、スキルとかの取得はしないだろうと考えて、これからの生活を考えるべきだろうね。


それじゃあっと………


『魔法を調べる』


異世界来たらやっぱ魔法だろ!


まぁ、あるかわかんないけどな。


でも、あったら色々楽しめそうだし、防御に使えたら今後にも役立つだろうからな。



次はっと……


『魔物を調べる』


やっぱりゴブリンとか定番のスライム見たい!


スライムって、ゼリーみたいで美味しそうなイメージだが、実際はどうなんだ?


………じゅるり。


おおっと、危ない危ない。


でも、スライムってソーダみたいな味がしそうだと思わないか?


なんか青いイメージあるし。


あと、あれもみたいな。


インキュバス。


あっ、別に下ネタ的な意味で言ったわけじゃないからな?


悪魔の類は美男美女のイメージあるじゃん?


その中でもインキュバスはダントツでイケメンなのではないかと思うのだよ!


インキュバスは皆、色気ムンムンのイケメンお兄さんだよ!きっと!


根拠はなひ。


別に会ってどうこうしたいわけでもないんだけどね?


イケメンは目の保養である。


以上。


ただそれだけっす、はい。


いやぁ~だって、ここの魔王も顔面偏差値高かったから余計に気になってしかたがないんだよな。


それから………


『迷宮へ行く』


これは行きたいね!絶対!


まぁ、あったらね?


でもやっぱり異世界の定番だもの。


罠にはまったり、宝箱見つけたり、モンスター倒したり、モンスターをテイムしたりとか………


本当は一人で行ってみたいが、この身体でいったら即死パターンだよな。




でもまあ、とりあえず




『異世界怠惰生活~楽して楽しんで帰還する~』


魔法を調べる


魔物を調べる


迷宮へ行く




行動に移して何かしらの問題が発生したらまた、考えよ。



そして、人間の少女は実行すべくメモを持って客間を出たのだった。









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