第18話いやだあぁぁあぁぁあああぁーーーーーー
「さぁ、お嬢様、覚悟なさい!」
「い、いやだ、く、来るなああぁぁあぁぁぁ!」
私は今、リーナに押し倒され、服をはぎ取られている。
「さ、さわるな! 私にそんな趣味ないわ!アホ!」
「いえいえ、これは私の趣味なのでございます」
「君の趣味など知るか! 勝手に趣味を押しつけられても困る」
「では訂正致します。これは私の仕事にございます」
「訂正しようがしまいが結論は同じじゃボケっ!」
「はいはい分かりました」
ジリジリと良い笑顔で近づいてくるリーナに不気味さを覚えて後退れば、頭が壁に当たった。
しまった!
もう遅い。
逃げ場などなかった。
「そろそろ腹をくくってくださいね?」
「ひぃ! いやあぁあぁああああぁぁーーーーーーー!!」
大浴場に私の悲鳴が響き渡ったのだった。
*****
遡ること15分前。
丁度、陛下が食堂を後にし、私が食事を終えてすぐのことであった。
「お嬢様、あとでお風呂に入りましょうか」
「風呂? あ、そういえば‥‥‥‥‥」
昨日、入らずに寝たんだった。
「大浴場を貸し切りに致しましたので、少し休憩されましたら案内させていただきますね」
「ありがとう」
そう言うと、リーナは嬉しそうに笑ったのだった。
*****
そこまでは良かったのだ。
問題は、案内した後だ。
*****
10分前のことである。
「お嬢様、こちらが大浴場でございます」
「おぉっ! 広っ!」
プールみたい!
「気に入っていただけたようで良かったです! では、まず脱衣所で服を脱ぎましょうか」
「うん」
言われるがままに脱衣所へ入ったのだが、何故かリーナがついてくる。
それも満面の笑みを浮かべて。
私は人に見られながら服を脱ぐようなそんな趣向は持ち合わせていない。
決して。
「リーナ。案内してくれてありがとう。もういいよ?」
「はい?」
遠回しに『出て行って欲しい』と伝えたはずなのに伝わらない。
ならば、はっきり言わせてもらおう。
「リーナ」
「はい」
「一人で風呂に入りたいんだけど」
「ダメです」
「なんで!?」
「貴方の服を脱がせ、貴方の身体を綺麗にするのが私の勤めにございます」
気持ち悪いよっ!
変態かよっ!
‥‥‥‥と思っていても、流石に口には出せない。
見せてやろう!
11歳なりの大人の対応を!
「一人で風呂に入るのが、私の普通なんだけど」
「いけません」
「なんでだよ! 意味わかんないよ!」
「簡単でございます。それが私の仕事にございますから。さぁ、さっさとお世話させてください!」
「いやだ! うわっ!」
クソッ! 上の服をはぎ取られた!
だが、まだ私にはキャミソールとブラジャーが残っている。
まだだ、まだ大丈夫だ!
いやっ! てか、なにが大丈夫なんだよ! 大丈夫じゃねーわ!
「フフフフフ‥‥‥‥‥一本、取りましたわ」
リーナ、君、最初はそんな性格だったか?
なんか、イキイキしてない?
気のせいか?
「さぁ、お嬢様、覚悟なさい!」
えっ! いや、ちょっと!
「い、いやだ、く、来るなああぁぁあぁぁぁ!」
そして、最初に戻る。
それから、私はリーナにされるがままになっていた。
いくら私が身体能力が優れていたとしても、魔族相手には歯が立たない。
力でも素早さでもかなわない。
相手が悪すぎた。
私は、リーナに身体を洗われた‥‥‥‥‥隅々まで。
リーナはイキイキとした顔で、私を洗っていた。
因みに手つきはいやらしくなかった。
セクハラでなくてちょっと安心したよ。
流石、メイド長であるというべきか?
なんか、なんだろう。
将来、嫁には行けないな。
真っ白になった思考の中で、ふと、そう思った。
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