異世界行っても怠惰を貫く。

バルザック・カロン

第1話とりあえず寝るわ。

突然だが、異世界とやらに転移した。


それに気づいたのは転移してから、3時間後。


異世界って気づくの遅くね?って、普通思うだろ?


自分でもそう思う。







遡ること3時間前。


私は、緑が生い茂る木々に囲まれ、大の字で寝ていた。


目の前には広大で透き通った青い空が広がっていた。


あれ?なんで、地面に寝てんだ?


さっきまで、家の畳で寝てたはず。


そういえば、家の近くに森とか林とかあったっけ?


‥‥‥面倒くさ。


考えんのやめよ。


余計な労力を浪費した。


電池式の白い腕時計に目をやると、午前11時だった。


寝よ。


そして私は、目先の疑問よりも寝ることを優先した。










グゥ~。


3時間後、腹が減って目を覚ました。


相変わらず、目の前には広大で透き通った青い空と鳥が。


いや、鳥じゃなくてドラゴンだわ。


今、何時だっけ?


午後2時、ここが異世界だと理解した。


グゥ~。


腹が減って若干気持ちが悪いのは、コレが現実だと教えてくれている。


何より、面倒くさいからとりあえずそれでいいや。


とりあえずメシだメシ。


場所を把握するため、そばに立つ木に登って確認する。


見渡せば。


うゎ……木しかねぇ。


まさしく苦虫を噛み潰したような気持ちになる。


突如、目の前を見下ろす木々に大きな影が写ったかと思えば、


ぐわしっ!


両肩を掴まれた違和感に見上げれば。


大きな足が二本と、広げられた大きな羽。


あ、ドラゴン。


グオォォオォオオ。


ドラゴンが鳴いた。


うるさ。


鼓膜破れる、マジで。


やめてくれ。


ドラゴンは羽を上下に動かし始めた。


ざわざわと森の木々が音を立てる。


え、まさか。


木につけていた足がふわりと浮いた。


うわぁ、飛んでるわ。


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