PHASE-1021【不老と重ねるタイプ】

 ――――。


「よっし!」

 荀攸さんと別れて一人の時間。

 寝室でプレイギアを起動。

 やるゲームはコンバットフィールドことCF。

 パーティー作ってしばらくプレイをしていれば――、


『お久しぶりね』

 招待せずとも当たり前のようにセラがパーティーに入ってくる。


「やあやあ。こっちも忙しくてね」


『しっかりと頑張っているようね。レベルの上がり方はちょっと残念だったみたいだけど』


「もっと頑張るさ」

 おやおや、以外と大人しいじゃないかセラのやつ。

 いつもだったらしつこいメールを送ってきたり、口を開けば必要な時にだけ呼ばれる都合のいい女とか、些か病んでいる内容が多かったが、


『D拠点とろうか』

 何とも今回は普通だな。


「おう。ってやられたわ……」


『私のポイントになりなさい!』


「最低だな……」

 セラの兵科は看護兵。除細動器というガジェットを扱える。

 これさえあれば、ヘッドショットをくらった状態であっても、あっという間に復活させることが出来る魔法のガジェット。

 でもちゃんとスリスリしてピピッ♪ って音がしないとライフがフルの状態で復活することはない。

 即時蘇生だと二十パーセント程度の回復。

 これだと目の前に敵がいれば――、


「まあ、やられますわ……」

 復活から一定の間隔を開けないと、ダウンした時に再び除細動器で復活させてもらえることは出来ない。

 なので双方が相手のチケットを削ってゼロにしていくコンクエスト戦において、無駄にチケットを使わせるのはいただけない。

 せめて回復パックなり回復箱でも同時に置いてほしいね。

 

 セラの場合、蘇生させる時のポイントだけが欲しいってだけだから、回復までは気をつかってくれないようだ。

 自己中なプレイヤーによく見られる。


「あ~あ。あの世のサーバーじゃなくて、日本サーバーでやりたい」

 意思疎通がとれてなくても、高確率でフル回復の蘇生をしてくれる日本人。

 ポイントではなく全体で勝つ事を念頭に入れて行動する日本サーバーのプレイヤーが如何に偉大なのかってのを海外サーバーを経験した後だけじゃなく、異世界でも経験できるなんて思わなかったわ。


「チームなんだからちゃんとしてくれよ」


『分かったわよ。にしても驚いたわよ』


「なにが?」


『貴男がまたこっちに戻ってくるんじゃないかっていう気配を感じたから。調べたら死にかけてたし』


「申し訳ない」


『遠坂 亨。享年17歳ってなってたわよ』


「お! やっぱり誕生日をむかえてたのか」


『そうよ。そっちに行ってから一年経つからね』

 そうか。


「となると、ベルやゲッコーさんも歳を重ねるか」

 一緒に行動する中で俺のメンバーもしっかりと年齢を重ね――、


『それはないでしょ。そっちの世界で仲間になった者達はともかく、召喚された者達はゲーム内での設定だから、時間経過の概念がないゲームだと年齢は固定されているわよ』


 ――………………。


「……え!? マジで!?」


『そりゃそうよ。三国志のキャラ達はちゃんと歳はとるけど、その二人のゲームは時間経過の概念がないから、その世界では肉体年齢が固定された状態よ。だから不死ではないけど不老あつかいになるわね。磯野家の皆さんと同じ方式よ』

 すげ……。普通に長命のハイエルフであるシャルナや、アンデッドとして二十代で肉体年齢を固定しているリンと同じような力を発動してんだな。

 当の本人達はその事は知らないだろうけど。

 確かにゲッコーさんのゲームはシリーズによって時が進んだりもするけど、一作品では時間経過の概念はないからな。

 ミッションを攻略するってだけだし。


 ベル登場の作品【ワルキューレ・クロニクル】は未プレイだけど、ゲッコーさんと同様の使用のようだ。


 反面、【三国志-群雄割拠-】に登場する先生、荀攸さん、高順氏は俺同様に一年経てば年を取るようだ。

 このゲームには四季があって、年月が経つ使用だからな。


『貴男も苦労しているからね~。私は頑張ってとしか言えないけど』

 ――なるほどな。だから今回は病んだような内容がないわけか。

 俺が死にかけて大変な目にあっているから、かまってな病んだ発言はないわけね。

 むしろ助かった。

 というか、普段からそういった態度を常にしていれば、周囲の他の神様やら死者の面々とも仲良く出来るんだろうけどな。


『はいポイントゥゥゥ!』


「だからフル回復でお願いしますよ……。分かったわよって言っておいて即蘇生かよ……」

 こういった所も直さないと、周囲の方々から嫌われるぞ。

 ボッチ一人なルートを進むぞ。

 現状、俺がいないと歩んでいるようなもんだが。

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