PHASE-835【中二病の二人がおちょくる】
「我がライトニングスネークをあの程度とは言ってくれますね。おしゃぶりから卒業できない分際で」
「なに?」
コクリコさん、言うね~。
楊枝を常に咥える様を小馬鹿にすれば、ガリオンがわずかだが眉根を寄せる。
「生意気なものだ。勇者と一緒に行動しているだけある。だが、今回は頼りになりそうな大型モンスターがいないようだが」
ちょっと待て。なんで俺と行動してたら生意気カテゴリーなんだよ。俺ってそんなに生意気かな? この世界に来てからは自分に正直に生きてはいるけど。
「別段チコは頼りにしていませんよ。私にとってはただの足ですから」
それをチコの前で言ったら、以前の魔大陸の恨みも含めて再戦ということになるかもな。
だとしてもコクリコが勝つか。
実際にコクリコが言うように、現在の俺たちの実力ならチコは驚異ではないからな。
ガリオンは強者だろうけど、チコをそう見たということは、コイツの力も以外と底が知れてたりして。
「それにしても勇者、その腰に佩いた鞘はガーズの物だろう。水石英から作られたバニッシュリッパーと見受けるが」
「水石英? バニッシュリッパー?」
シャルナの黒石英のショートソードと同じで、魔法付与されてるタイプかな。
バニッシュリッパーってのは如何にもコイツ等がつけそうなネーミングだけども。
「素材と名前はともかく、断空のガーズが持っていた物であってる」
「ほう。ではガーズを倒したと?」
「ああ。二枚看板をな」
この返答に「馬鹿な!?」「ガーズ様とアザグンス様が!?」周囲の傭兵団から驚きの声が上がる。
「にわかに信じられんな。あの二人を相手にいったい何人で挑んだのだ?」
「俺だけだよ」
「フッ――」
あ、この野郎! 鼻で笑いやがったな!
嘘を言うなと言わんばかりに馬鹿にした目で見てきやがって。
「本当だっつうの。四人衆に、その後に出てきた二枚看板。全員、俺一人で倒したよ」
「――――冗談なら笑えんぞ小僧」
「本当だよ。本当だと更に笑えないだろう。お前等にとって俺は脅威となる対象って事になるだろうからな」
あの二人に一目置いているのは分かる。
副団長の側付きって事だから、自分にとっても有能な人材ということで信頼しているんだろう。
でも残念。俺という存在が倒したというのは真実だ。
しっかりとそれを受け入れないとね。
「態度からして真実なんだろうな。流石は勇者と称賛すべきか」
「称賛して降参しろ。大体がうちの美人様の凍りつく闘気を感じ取って、壁上では顔を引きつらせていただろう」
「認めよう。あの傾国は圧倒的強者だ。膝を屈する存在だ」
コクリコのおしゃぶり発言にはイラッとしてたけども、強者からの圧に気圧された事は即答で素直に認める。
強さこそが正義の傭兵団にて副団長を務める男は、力こそが絶対という考えのようだ。
傭兵団の理念そのものを自身で体現している。
「だったら降参も受け入れて欲しいね」
「御免こうむる。我ら破邪の獅子王牙に敗北は許されん」
「結構、敗北してるぞ」
「局地戦の敗北など問題ない。最終的に勝てばいいだけだ」
「ほうほう。だったら全てを叩きつぶすだけだ」
「いいだろう勇者。相手になろう。破邪の獅子王牙副団長、
「鋼の鬼――ね。たかだか鋼程度でこの火龍の装備である遠坂 亨に勝てると思わないことだな」
「いいですよトール。強者の感じがしっかりと出ています」
「ありがとうコクリコ」
「いえ、私は
「何だよ銀煌鬼って! あれか? ミスリルからきてんのか。一瞬で感化されてんじゃねえよ。しかも相手よりも上じゃねえか」
「だって私はミスリル装備をこの手に持ってますからね。しかもあいつよりは強いと思います」
「まったく仕方ねえな。いいよ銀輝鬼でも。だがコクリコに出番はない。なぜならば――――、この
「いやトールそれはずるい! 火龍の鱗装備をそのまま別称として使うのはずるいですよ。それを超えるのがないじゃないですか」
「さて――、そろそろ馬鹿にするのはやめてくれるか――な!」
「そい!」
不愉快さを混じらせつつ鋼鬼のガリオンが楊枝を見舞ってくるも、しっかりと銀煌鬼が自慢のミスリルフライパンで再度、防いでくれる。
「たかが鋼がミスリルに勝てるとでも?」
と、これまた上から目線だ。
だが流石は銀輝鬼だ。まあ、この龍鱗鬼の俺ほどじゃないがな。
腕組みしてほくそ笑みつつ、心の中で悪のりを続ける俺。
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