PHASE-319【回復アイテムの重要さ】
ゲームみたいに使えば直ぐに効果が出るってのはポーションの上位であるハイとグレーターのみ。この顎のガクガクを治すのにはあと一時間は我慢だ。
というか飲んでもなんの感想も芽生えなかったから、治るのかと不安になってしまい、つい口から疑いが漏れてしまう。
その一時間の間に、この世界でのポーションの効果と使用例をざっと教えてもらった。
シャルナからも聞いたけど、ギムロンも話したがっていたし、この蒸し暑い建物からも出たかったから、外に出てから俺は聞く姿勢になる。
些かゲッコーさんが寂しい表情だった。
先ほど飲んで塗布したレッサーポーションは、切り傷や打ち身などの家庭的な怪我に対応したポーションで、一時間ほどかけて徐々に治癒していく。
ポーションは、痛みと疲労をとってくれて、回復量もレッサーより高い。
五分から長くて十分ほどで治癒を行うため、冒険者や兵士など、戦う者たちに重宝される。
ハイポーションはポーションと回復や疲労軽減の効果は変わらないが、飲んだり塗布する事で、即座に効果が出るそうで、ここぞという時に頼れる貴重なポーション。
グレーターポーションは回復魔法が封じられている事から、死に近い致命傷も即座に治癒し、疲労も完全に取り除かれるそうで、睡眠を取らなくてもこれを飲めば解消されることから、重要な戦いの情報を得た間者や、長距離の伝令、強行偵察に渡されるそうだ。
直接的な戦闘よりも、勝利を収めるための情報が重要という考えのようだ。前線より情報が優遇されているのがこれで分かる。
これらに加えてアンチドーテがグレーターポーションと同じような行程で作られる。
解毒魔法を封じたポーションをアンチドーテと呼称。
解毒とハイポーションの効果を有する万能薬のポジション。
これらに共通するのが、痛みの緩和と精神安定の効能が入ったエムリム茸が使用されていること。
これが入ってないと、ポーションと銘を打つことが出来ないと言うのは、シャルナからも聞いた。
グレーターにアンチドーテの更に上に存在するエリクシールことエリクサーは正に奇跡の霊薬。
どんな傷や疲労に病。更には呪いさえもたちどころに治してくれるそうだ。
勇者である以上、これらはコンプリートしときたいよね。
エリクシールも最低でも一つは持っておきたい。
「――――おお、凄いね」
ポーションの使用例を聞いていたらいい感じに時間が経過。
「一時間前は効果が出るか疑ってたのにね」
チクリと細けえ事を言うんじゃないよエルフさん。
飲んでから程なくして口内の痛みが和らいだと思ったら、一時間もすれば痛みは取り除かれている。
若干の違和感は残っているが、熱いスープを飲んでも染みるということは無いくらいにまで回復しているだろう。
顔の腫れも鏡で見れば治っているし、口内同様に顎に若干の違和感を覚えるけど、それでも一時間前に比べたら断然よくなっている。
これが戦闘で重宝されるポーションやそれ以上となると――――、
「これは生産を最優先させないといけないな」
レッサーでこれだもの。ご家庭から旅のお供にポーションを! ってキャッチコピーを付けて。バリバリに大量生産しなければいけないな。
「よし、討伐と違って採取は評価加点が低いようだけど、必需品の素材を多く集めた存在には、今以上に評価を高くしないとな」
そうすることで採取にもやる気を出してくれるはず。
どうも荒くれ者たちは、強敵と戦うということにロマンとステータスを感じているからな。
地味な作業であっても、全体の為になる採取が重要だという事を知らせるには、高い評価と良い報酬を与えるのが一番だろう。
ポーションはギルドメンバー、冒険者だけでなく、一般家庭、兵士たちにとっても重要な物だというのは使って理解できた。
これは王様に頼んで、王サイドからも採取クエストの依頼を出してもらおう。
そもそも兵士にも必要なはずだから、喜んで依頼を出してくれるはずだ。
西の塔にある様々な宝物をいただいたけども、それとは別に報酬を出してもらえれば助かる。
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