第5話 企画を通せ!
この仕事について早3年が経とうとしている。
テレビ番組を作るのは誰にでもできる。この職業についていれば嫌でも仕事が降ってくるから。土日も関係なく働いている人もいっぱいいる。その逆で人に仕事を振るだけで自分では何もやってくれない人もたくさんいるんだけどね。そして業界はいつも人手不足だから簡単に入ることもできる。希望の会社は無理だとしても、業界に入ることは案外簡単だ。実際、この人は普通に会社員として働くことはできないだろうなというトホホな人もたくさんいる。だから番組を作る仕事は誰だってできるのだよ。
難しいのが、「自分がやりたい番組」を作ること。こればっかしは、とてつもなくハードルが高いのだそうだ。だそうだ。と言ったのは僕はほとんど企画を出したことがない。だから実際のとこどういった経緯で企画書が通り、それが実際に番組になっていくのか、その大変さはよくわからない。ただ、みんなが大変だというのでそう思っているだけなのである。一度入社してすぐに変な企画を出したことがあった。タイトルは「日本の怖い夜」という企画。新人が出した企画だから?か社長に呼び出されて直々にご評価を頂いた。何言ってんのかよくわからなかったけど、簡単にいえば「これじゃ番組にできん。えっへん。」てなもんで、新人の僕はそんな真剣に考えてもらおうと思って出したわけじゃなかったので、たちまち怯えてしまって早々に企画を引っ込めたのだった。そんなしょーもない企画を出し、かれこれ2年。何もせず。そして、先日「企画をかかきゃならぬ」という使命感が突然私を襲った。まあ実際のとこチョクチョクそういう突発的な衝動に駆られるのだが、大抵はうまくいかない。すぐに熱は冷めて日々の業務を遂行するのに精一杯になる。だが、しかし、だけども、いやいや、全くもって今回はちゃんと出そうと思っているのである。えっへん。なので、諸君も僕の背中を叩いて応援してほしい。えっへん。
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