眠れない夜に

@aster_

18:03

‪まちが、やまが、うすむらさきにのまれていって、ぽつぽつと灯りだした、まちあかりがゆらいでいる‬。‪ろうそくを吹きけす映像を、逆再生するみたいだ‬。まちも、息をするのだろうか‬。‪

そらをとびながら、よるのカーテンをおろす‬。

‪つきのひかりよりも、電球のひかりのほうがあかるいから、新月でもさびしくないねってだれかが言っていたっけ。つきがいないよるも、うみにはひかりのみちがあった‬けれど、きみがいないよるは、電球のあかりもつかないからまっくらだった。だれか、とはきみだったのだと、それをわすれたこともわすれてしまっていたのだと、ひからない電球を見ながらおもいだした。せめて、つきのひかりでおもいだしたかったな、などとひとりごちる。

‪窓をあければ、ゆっくりとうごく、無数のひかりの点が見えた。その点には、ぼくの知らないだれかがくらしているのだろう‬。あのどれかひとつに、きみはいるのだろうか。

‪ここからおもいきりあしをふみおろせば、簡単にこわせてしまいそうな世界だ‬。







「‪ねぇ、さびしくないことが、なによりもさびしいことだって、いまになってようやくわかったよ‬。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る