自分のスキルを鑑定する。

 俺はミレイユから金や装備品を貰うと外に案内された。


「さっさと消えるんだな。ふん」


 なんかきつい性格の騎士だったがまぁ、いいか……


 俺は城を出ると宿を探しに行った。


 通ってる人に話を聞こうとする。


「あのー」

「な、なんでしょうか?」

「近くに宿屋ってありませんか? 場所だけ教えてくれればいいんですが……」


 あれ? 普通に喋れるぞ? やったねたえちゃん


「えっと……そこをまっすぐ行けば宿屋がありますよ?」

「宿の名前ってわかりますか?」

「確か……星が眠る日とか……」

「あ、教えて頂きありがとうございます」

「い、いえ……」


 少し困惑しながら話し掛けた女性は去っていった。


 それにしても……ネーミングセンスダサくね? 気のせいか?

 まぁ、いいか……


 俺はまっすぐ行き言われた通り宿屋があった。


「……マジだったわ」


 そう呟き宿屋【星が眠る日】の出入口の扉に手をかけようとすると中から騒音が聞こえた。


「なんなんです!?」


 女性の声だ。声からして年齢は16くらいかな?


「金出せって言ってんだろ!」


 男の声だ。こっちは30代後半と言った所だろう。

 そして男は強盗なのか……


 俺が倒せるかって? 無理無理ステータスの差って言う異世界でよくある設定のせいで無理だ。

 逆に言えばステータスさえ上回ることができれば2歳児が大の大人を殺せることも可能だってことだ。まぁ、そんなこと多分ありえないが……


 ん……? そういや変なスキルがあったな……


 心の中で「ステータス」と言うとステータスが表示された。


「っと……この反射ってやつ……物理攻撃反射・鑑定?」


【物理攻撃反射】

 ありとあらゆる物理攻撃を相手に1/4にして返す。

 自分は1しか食らわない


 同じく魔法攻撃反射と状態異常反射を鑑定してみた。


【魔法攻撃反射】

 ありとあらゆる攻撃魔法を1/4にして相手に返す。

 回復魔法、補助魔法は返さずに受けることが出来る。

 ダメージは何がなんでも1

 ※連続攻撃の場合全てが1になる※


【状態異常反射】

 ありとあらゆる状態異常を反射。又は無効化する。

 無効化にしておけば睡眠を取らなくても済む。

 飲み物などに入れられてた時それを知らずに飲めば入れた者に500倍で返す。

 知ってて飲めば反射、無効は発生しない。


 ……俺無敵じゃん。無敵って事は分かった。ひとつ言わせてもらう。何故状態異常反射だけ500なん? 1/4じゃないの?


 と、そんなことをしていると【星が眠る日】から誰かが出てきた。


 少女だ。

 少女の顔には殴られ痕があり服に血と思しき赤い何かがべっとりと着いていた。


「どうしたんだ?」

「ひっ……な……中で……男の人が……暴れてて……」

「そうか。怖かっただろ?」


 優しく問い掛けると少女は頷く。


「お兄さんが懲らしめてあげるからね」

「いいの?」

「あぁ。お兄さんは無敵だ。誰も殺せない」

「じゃあ……おねいちゃんをたすけて……」

「あぁ。何人かな? 暴れてる人って」

「ひとり」

「ありがとう。此処で待っててね。お兄さん懲らしめに行ってくるから」

「うん!」


 少女は満面の笑みで頷いた。


 ……俺……なんでこんなに喋れるんだ? おっかしいな……病気か?

 んー、まぁいいか


 そんな事を考えながら俺は【星が眠る日】の扉を開けた。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 入ると絶句の一言。


 辺りには血が付着したテーブルや椅子が散らばっており血臭が凄い。

 そして一人だけ首が取れていて死んでいた。

 ほか全員半殺し状態。


 首が取れていた男──胸の膨らみがないため男だと思う──が手にしていた剣を手に取る。


 軽い。


 軽く振ってみると棒っきれを振ってるような感じがする。


 すると厨房と思える所から悲鳴がする。


「助けっ……」


 さっき言い争っていた? 女性の声だ。


「はっ、誰も助けに来ねぇよ。おめぇは俺にたっぷり犯されればいいんだよ。ケケケッ」


 キモイな。


 俺は剣置いて声のする方へ向かう。


 お、居た居た。って目のやり場に困るな……


 女性は素っ裸で布1つ巻いておらず隠すところは手で隠そうとしている。


 うん。俺の息子が元気になってきた。


 男の事は割愛。


 まぁ、そんなことより聞くこと聞こう。


「どーも、アンタがあの少女のおねーさん?」

「アン? おめぇ誰だ? 俺ら二人の愛に割り込もうってもんか?」


 愛って……笑えるわー。まぁ、とりあえず無視


「あの少女のおねーさんかな? 身長は……俺の胸より少し小さい程度なんだけど……」

「リ、リン? リンなの!?」

「えー、名前聞いてないから知らねぇけど多分リンって子だと思う」

「聞いてんのか!」

「黙ってろ。俺は一人しかいないんだ。順番だ。わかったな?」

「てめぇ……舐めやがって……死ねぇ!」


 男が近くにあった棍棒のようなものを俺に振りかざす。


 そして俺はニヤッと笑って言う。


「自滅しろ」


 そう言った直後虫に刺されたくらいの痛みが顔に来た。


 対して男の方は顔を抑えて悶絶してる。

 血が出る手前のようだ。


「無事でよかった。とりあえずこいつが暴れてた奴でいいの?」

「……は、はい……」


 どうやら少し困惑してるらしい。


 それも当然か。知らない男は何もしてないのに暴れていた男が勝手に悶絶してる。

 そう彼女には見えているはずだ。


「あの……今何を……?」

「何もしてないよ? その男が勝手に怒って攻撃しようとして勝手に悶絶しただけだから」

「……」

「怪訝な目で見ないでよ。俺はアンタを助けた。それだけでいい。……てか服着てくれ」


 そう注意すると女性の顔はみるみると赤くなる。


「えっと……この服着ていいから」


 そう言って渡したのは学ランだ。ワイシャツだと逆にヤバそうだから学ランにした。


「ありがとう……ございます……」


 かなり、かなーり小さい声で女性は言った。


 すると出入口の方からさっきの少女の声が聞こえた。


「おねーちゃーん」

「リン!?」


 少女の姉は素っ裸のまま飛び出そうとして俺はギリギリのところで止めさせた。


「服を着てからだ」

「ぅ……はい」


 返事をすると少女の姉は学ランを羽織ボタン部分を付けようとしてかなりもたついていた。


「あの……付けれないんですが……」

「そうか」

「付けてもらえませんか?」

「いや、なんで俺が?」

「え……その……衣服を借りた人ならつけれるかなって……思いまして……」

「分かるが自分でなんとかして付けろ。一応言っておくが俺男だからこの状況で我慢するの必死なんだからな?」

「う……我慢って……」

「このクズ男見たくなるって事だ。それを耐えて今居るんだぞ」

「そ、そうですよね……。分かりました。自分でなんとかして付けます」


 そうして少女の姉は頑張ってボタンをつけていった。

 ちなみにかかった時間は20分弱だ。


 辛かった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 事が終了し今俺は少女──リンちゃんの姉──レイリンさんを助けたから無料で泊めてもらうことになった。


 因みに暴れた男は騎士に連れられどっかへ行った。

 そして倒れていた人達は急ぎで医療施設の方へ運ばれた。


 そして分からない事を質問してから俺は用意された部屋に入って今一人でいる。


 さて、何しようか?

 旅支度は明日にして今日は……スキルの鑑定でもするか。


 俺は「ステータス」と言ってステータスを表示させる。


「チェンジ・鑑定」


【チェンジ】

 容姿を変えたり性別を変えたり声帯を変えたり色々変えられる。

 他人の事も変えられる。

 男でも女でもその性別の機能はちゃんと使える。


 なるほど。現在男ってのはチェンジを使ってないからって事か。そして【戦闘メイドLv10】があったのもこれが理由か……


 と、取り敢えず……


「戦闘メイド・鑑定」


【戦闘メイド】

 レベルに応じて攻撃力、家事スキル、丁寧さが上昇する。

 最大レベルは10。

 男性でも取得出来る謎スキル。


 鑑定結果に謎スキルってつけちゃダメでしょ……


 念の為執事の方も鑑定したが大体同じ内容だった。


「それにしても【収納ボックスLv100】っておかしいだろ……収納ボックス・鑑定」


【収納ボックス】

 亜空間に物を入れることが出来る。

 レベル×MPで収納出来る数が増える。

 時間が止まっているため食材を入れるのにも使える。

 生きてる生物は入れれない。

 最大レベル100


 あ、最大レベル100まであるんだ。なら良かった。


 あと透明化ってやつも鑑定してみるか……


「透明化・鑑定」


【透明化】

 レベルに応じて透明度が上がる。

 暗殺にも使えるし襲いこみにも使える。

 レベル10にすると気配察知、野生の勘、第六感等では分からない。

 触るとバレるが透明化は解除されない。

 因みに服はレベル5から消える。


 うわ、そのまま。つかなんでこれ持ってんだ?

 まぁいいか……


 俺は他に【魔法の知恵】と【防御無視攻撃Lv10】を鑑定した。


【魔法の知恵】

 魔法に関する事が分かる。

 魔法を発動する時の魔力源を視ることが出来る。

 MP50プラスされMP使用量が1/2になる。


【防御無視攻撃】

 防御力を完全無視し相手に攻撃する。

 レベル×自攻撃力でダメージが決まる。

 殴りだけではなく蹴り、斬撃でも通じる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る