けもののきろく:ちょっと危ないジャパリパークでのヒトの生存日記

大きさの概念

Appendix:付録(本編のネタバレ含む)

各章あらすじ:2-4まで

【Prologue:小さな友達に挨拶を】

Stage:さばんなちほー緊急避難所

 ある朝、知らない場所で目を覚ました「私」には、自分に関する記憶が一切なかった……。この不思議な島「ジャパリパーク」での私の第二の?人生が始まる。ヒトの痕跡の残る建造物、怪奇生物「セルリアン」との死闘、そして初めての「フレンズ」カラカルとの出会い……。

 私の記憶の「白紙のページ」に、新たな思い出が描かれていく……。




【Chapter 1:サバンナのルール】

■1-1 非現実の王国で

Stage:さばんなちほー熱帯草原地区、さばんな屋敷

 観察、収集、体験、実践が必要だ……。集めるものは生物としての知恵、知識、経験、道具、武器……捨てるものは人間の愚かさ、不注意、無知、偏見……。

 我々ジャパリパーク探検隊は、「大きな村」を目指して昼間のサバンナを進む。大自然を観察したり、困っているフレンズを救ったり、セルリアンと闘ったり、パークに伝わる伝説の「カバンサン」や「ボス」の話を聞いたり……見るのも聞くのも全く新しいこと。だがひとつの謎が解ければ、新たな謎が生まれるばかり。

 道中では、ヘンなフレンズの混血ハーフキリンと、ちょっと頼りないけど優しいアードウルフが仲間になり……そして夕刻「大きな村」に到着したサバンナツアーご一行を待ち受けていたものとは……!?


■1-2 動物裁判

Stage:さばんなちほーしぇるたー、ジャパリパーク大看板

 という、世にも奇妙な「動物裁判」が開かれる次第となった。フレンズ達の手により拘束された私は、「留置場」に監禁されたのち、「サバンナ地方裁判所」へと強制連行される。不気味な青白い満月のもとでの、狂気の人間裁判の開廷……。が明らかにされていく中、フレンズ達のは白熱と狂乱の一途をたどる。

 混迷と喧騒が極まり最高潮となる法廷へ、が来場し……裁くものと裁かれるものの立場は一転する。この只ならぬ闖入者ちんにゅうしゃは、我々全員のを執り行わんとするつもりらしい……。


■1-3 水槽の脳シンクタンク

Stage:ジャパリパーク大看板、さばんなちほー半砂漠地区、岩丘群コピエ

 「戦車型セルリアン」を自在に操る「寄生種セルリアン」の猛攻。今夜の冷たく乾いたサバンナはまさに戦場……砲弾飛び交い、獣たちは傷つき、悲痛な悲鳴とうめき声が夜の静けさの中に響き渡り……この熱帯草原は、酸鼻極まる「ソンムの戦い」の様相を呈し始める。サバンナの大地は野生動物の骨肉と血脂で彩られ、月の光の下でぬらぬらと黒く輝いている……。

 ライオン・ゾウ・キリン……アフリカの強力なフレンズたちと、狡猾で残忍なセルリアンとの、熾烈極まるの火蓋が切って落とされる。元を辿ればアフリカ生まれである「ヒト」の私も戦いに身を投じ……いや、本当に私は「ヒト」なのか……? 走馬燈フラッシュバック、蘇る記憶……疑問、謎、混乱……

 一進一退の攻防が繰り広げられ、フレンズとセルリアンのぶつかり合う。その激闘の末にとうとうフレンズ達はみな倒され、地に伏して……夜空の星々だけが見守る、戦いの結末は……? サバンナの地平線に突き刺さった「南十字星」は、我らの死の墓標となるか、あるいは勝利の女神の加護となるか……。




【Chapter 2:サバンナにかける橋 】

■2-1 水陸旅行ダックツアー

Stage:さばんな屋敷、さばんなちほー半砂漠地区、さばんなちほー湿地帯地区

 先の大型セルリアンとの死闘では、多くの動物の命が失われた。サバンナ地方にあるという『じゃぱり霊園せめたりー』に赴き、彼らのせめてもの供養をしたい……。それが今まで、そしておそらくこれからも、命のやり取りに巻き込まれる人間ヒトとして……できるではないだろうか……? 願わくばその功徳が、我らフレンズにも返らんことを……。

 しかしだ、その前にけがれた身体を洗い流さねばなるまい。土や血で、服もだいぶ汚れてしまった。聞くところによると、都合よく『さばんなちほー』には『じゃぱり銭湯バス』なる浴場施設もあるそうなので、是非とも行ってみたい。

 みそぎという、精神衛生上の問題だけでなく、服の洗濯や怪我の療養など、心身ともに衛生的になり、さらに欲を言えば、ヒトの手が加わっていた公衆施設ならば……に関する情報だって手に入るかもしれない。

 ……「さばんな屋敷」を出発した我々は道中、個性豊かフレンズとの出会いと別れを経て、とうとう大湿地帯にたどり着く。島の中央に位置する高原地帯から流れ込む幅広の川は、乾季の最中さなかで乾いた『さばんなちほー』にあっても、豊かな水の流れをはぐくんでいた……。

 無事に渡河に成功した私たちフレンズ一行だったが、そこで見たものは……水陸両用装甲車「カルガモバス」……「港方面」へ行く手を阻む巨大縦穴洞窟……。そして大型哺乳類の……常に我々フレンズの心の水面下に潜在する恐怖、それは空色の異形セルリアンという名の怪物……。


■2-2 先にお風呂っ!

Stage:さばんな銭湯『ジャパリ健康ランド』

 さばんなの湿地帯に突如として現れる銭湯……。そこは伝統的な和風の建築様式と自由自在な「じゃぱり美術」とが混ぜこぜになった、混沌としているが馴染みやすい、不思議なくつろぎの空間であった……。

 誰が、そしてなんのために、この場所を管理・運営しているのだろうか……? もともとは、近くの水源から水を引いて熱帯植物を育てて研究する施設であったようだが……。

 ヘビやワニなど、水辺を好む爬虫類フレンズは、風呂の中でどっしゃんばっしゃんおおはしゃぎ……。浴室には、熱水と太陽光から空気中からサンドスターを「光合成」できる無害なセルリアンまでもがいて……この奇妙な湯治客もすっかり入浴を楽しんでいる様子……。カラカルなどの乾燥地を好むけものには、居心地が悪いようだけど……。

 だが、水辺には蛇がつきもの……それも蛇のセルリアンが潜んでいた……。一糸まとわぬフレンズ達の背後に迫る蛇の――いや「半人半蛇」のそのセルリアンは、諏訪地方の「甲賀三郎伝説」を思わせる奇妙な姿……まさかすぐ近くの竪穴洞窟から彷徨さまよでてきた……? 暗闇の地底からやってきたセルリアン達は、「光の輝き」を求めてフレンズたちをつけ狙うのか……?


■2-3 蛇遣いの女スネークチャーマー

Stage:さばんな銭湯『ジャパリ健康ランド』

 フレンズ達は果敢にも蛇遣いセルリアンの群れに立ち向かい、銭湯浴室からの脱出を試みる。

 ホオジロカンムリヅルのクチバシを思わせる貫手と、一般的なツルには無いでの蹴り技。ニシキヘビの「関節外し」と、床に転がしてからの絞めや関節技などの寝技。ナイルワニのD.ドラゴンスクリューやF.フランケンシュタイナー、ヒジ・ヒザでのハサミ受け。ヘビクイワシの秀麗なハイキック……。

 だが! 蛇遣いのセルリアンのすさまじい打たれ強さ! 眼球を《えぐ》られ、腹を刺され、首を切り裂かれても平然と立ち上がってくる! ヤツらは不死身なのか……!?

 その上、ここはお風呂だったので、いつも頼れるカラカルもキリンもきてしまい、滑りやすいタイルの上で裸足なので戦力にならない! さらに私の拳銃も……音が反響しやすい浴室で発砲すれば、フレンズ達の聴覚にダメージを与えてしまう!

 不死身の敵と、不利な環境……一体どうすればいいんだ……!? での


■2-4 水際最大のオーバーロード作戦

Stage:さばんなちほー湿地帯地区

 蛇遣いセルリアンには、意外な弱点が……!? 死に物狂いでヤツらを退けたフレンズ達……。なんともあっけない幕切れ……と思ったのも束の間! 蛇人セルリアンどもが合体し、超大型の「ヒュドラ・セルリアン」に変身したではないか!?

 まさにこいつはジャパリパークのヤマタノオロチ……。酒も伝説の剣などのレアアイテムを持っていない我々フレンズパーティに勝機はあるのか……!?

 銭湯の隠しガレージで発見したドイツ軍装甲車両「キューベルワーゲン」や、湿原の丘に放置された「DUKWダック」水陸両用カルガモバス……そして、湿地帯を年中流れるが、私たちの味方になってくれるだろう。名付けてコレ、オペレーション・ダック-デイ……「鴨の日」作戦。

 だが、一番の味方は「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」の精神。フレンズを助けるためには、つもりでセルリアンを斃す、決死の覚悟こそが必要になる……。

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