トラウマ
名前 マルティネス・アリア
種族 人間
年齢 18
職業 皇女
レベル 41
HP 5700
MP 4200
スキル アイテムボックス・剣術(中級)・体術(中級)・初級魔法(熟練度4)・光魔法(熟練度4)・水魔法(熟練度3)・氷魔法(熟練度2)・雷魔法(熟練度2)・回復魔法(熟練度1)
ユニークスキル 王室の加護・魔力向上
称号 次期女王・不屈の精神・甘い物好き
名前 マルティネス・エヴァン
種族 人間
年齢 49
職業 国王
レベル 57
HP 6500
MP 5000
スキル アイテムボックス・剣術(上級)・体術(中級)・初級魔法(熟練度7)・光魔法(熟練度4)・炎魔法(熟練度4) ・風魔法(熟練度4)・水魔法(熟練度3)・威圧(超上級)
ユニークスキル 王室の加護・魔力向上
称号 現国王・極楽椅子・親バカ
…………。
お二人の許可をとってステータスを覗かせていただきました。どうやら、鑑定のスキルは相手の許可があればレベル差関係なくステータスを覗けるらしい。
それはいい。
色々突っ込みたい。
てかアリアさん、一つしか違わなかったのか。
「……さっきの、これか」
一周回って冷静になる。鑑定を発動させているからか、スキルの説明までちゃんと見える。
一番最初に気になったのは『威圧』だ。
威圧……対象に威圧をかけることができる。効果は相手のレベル、自身の階級によって大きく変化する。
さっきエヴァンさん……で、いいんだよね? と会った瞬間、きっとこのスキルを発動させていた。超上級の威圧に、レベル1の僕じゃあ……あんなの耐えられるわけない。
「すまなかったなウタ君。立場上、この国の国民の顔は把握している。見知らぬ顔がいると、敵国のスパイではないかと思ってしまってな」
「い、いえ! 大丈夫です全然!」
あと気になるのは……うん、称号はめちゃくちゃ気になるけどスルーしよう。あえて。あえてだよ!?
「この……『王室の加護』っていうのと、『魔力向上』っていうのは?」
説明書きはこうだ。
王室の加護……王家の人間を守るため、先祖から受け継がれたもの。連続しての使用不可。蘇生は出来ない。
魔力向上……魔力が向上する。
分かりづらいよ! 魔力向上に関しては説明になってないよ!
「あぁ、魔力向上、っていうのは文字通りだ。普通はMPってHPの半分ちょっとくらいなんだが、これを持ってるといくらかかさ増しされるんだ」
「へぇー……」
スッゴい便利だ。
「それから、王室の加護だが……これは時と場合によるかな」
「時と場合?」
それって不便なんじゃ……。
「例えば、一時的にHPかMPを向上させたり、傷を異常なスピードで治すこともできる。蘇生だけは出来ないが、それ以外のサポートならおおむね可能だ」
「めっちゃ便利だった!」
そんなスキルがあるのか……。面白い。
「そうだ、アリア。俺はこのあと隣国の国王との食事会がある。彼のことはお前に任せよう。こちらのことを色々教えてあげなさい」
「はい」
アリアさんが答えると、エヴァンさんは優しく微笑み、屋敷から出ていった。……それにしても、
「広いお屋敷ですね……」
「まだそんなこと言ってるのか?」
「だって、ここに二人で住んでるって……使用人とかは、いないんですか?」
「んー……」
なぜか少し考え込んだアリアさんは、僕にその理由を語る。
「あるときから、なくしたんだ。使用人は」
「じゃあ、前はいたってことですか?」
「そうだ」
「ならなんで……」
「それはズバリ、経費の削減だ」
「…………は?」
やっば! 思わず素で返しちゃったよ! 次期女王様に向かって! うひゃあーーー!
「使用人を雇うのは国の金だ。その資金を街の復興にあてた」
怒られなかった! よかった、本当によかった! ……って、え?
「復興?」
「実はな……少し前に、この街をドラゴンが襲ったんだ」
「ええっ!?」
ドラゴン……っていったら、すでに僕のトラウマだ。だって転生して間もないときに急に襲われ、家を失ったのだ。ヘタレな僕のトラウマにならないはずがない。
「ドラゴンは基本、気高く、知能が発達した魔物の上位種だ。言葉だって通じる。だから、人里を襲うなんてことは今まで一切なかった。お前の家が焼かれたというのも正直なところ驚きだ」
「……ていうか、魔物、入れないはずじゃ…………」
「あのドラゴンは、結界を破壊して入ってきた」
「うっそぉ!」
やめてよ! 街でゆっくりしている間くらいは心を休めさせてよ! ただでさえ心臓100個くらい欲しいってのに……。あ、今は実質2つあるけど。
「入ってきたドラゴンは凄まじい力で、私たちはなにもすることが出来なかった。街は一時、壊滅的な状況だった。
……だから、あー、なんだ? 使用人の雇用をなくし、その給料を復興にあてたんだ。少しでもプラスにと思ってな。父上と私の意思でそうしたんだ」
少しずつ、状況が飲み込めてきた。どうやらこの世界に、『絶対安全』はないらしい。いや! 地球上だって絶対安全とかないんだけどね? 度合いが違う。
日本じゃあ普通に過ごしていて命を狙われることもなければ、魔物が襲ってくることもない。そういう面で、大きく違うのだ。
「さて、おしゃべりはこの辺りにして……お前に色々教えないとな」
「え?」
「さっきも言ったが、自分の身は自分で守らないといけない。基礎的な戦いかたなら教えてやる」
「あの」
「奥に試合用の競技場がある。ちょうどいい。そこで相手をしてやる」
「あのーーー!!!」
……嫌な予感がする。これは、ヤバい。
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