異常との対面にて 不快な存在と空間
森を抜けた僕達の視線の先で
「ヤートが夢の中で戦った奴はあいつか?」
「僕が夢で戦ったのはヘドロの塊みたいな奴だからあいつとは違う。でも、確実に関係はあるね」
「なるほど。……カイエリキサ殿、できるだけ速やかに潰すべきだと思うが?」
「そうですね。異論はありません。あなた達、くれぐれも油断しないように」
「ラカムタさん、何をしてくるかわからない相手に近づくのも危険だし僕が遠距離で仕掛けて良い?」
「…………」
「私は構いませんよ」
「だそうだ。ヤート、遠慮するな」
「わかった。
僕は腰の
「ガボッ‼︎」
「……………………気持ち悪りい」
僕達の気持ちを兄さんは代弁してくれた。まさかあいつがふらつきながら立った後、口からヘドロを吐き出して
突然の行動に僕達が面食らっていたら、頭皮に傷がついたのか頭から液体が滴り落ちてくる。ただし、赤色じゃなく黒色の液体がだ。あいつ身体の内側はヘドロで満たされてるのかな?
「貴様……、よくもやってくれたな‼︎ この
「
僕は無視をして、さらに撃ち込んでいく。…………今度は掌からヘドロを放出した。身体中から出せると考えたら、やっぱり無闇に近づくのは危険だね。
「矮小な存在ごときが一度ならず二度までも、このリザッバに‼︎ ふざけるな‼︎」
「けっこう元気だな。それならやっておいた方が良いか。
「グボァ‼︎」
僕が魔法を発動させると、夢で人型のヘドロに撃ち込んだ位置に
「バカなっ⁉︎ なぜその魔法が私に発動する⁉︎ 人形との繋がりは切り離したはずだ‼︎」
「僕がお前のところに誘導しただけだよ。
「おのれぇぇぇぇ‼︎‼︎」
「
僕の意思に答えて
「ヤート?」
「みんなは周りの警戒をお願い」
「…………わかった。無理はするなよ」
「いつも通りだよ。僕はできない事はしない」
ラカムタさんと話してたら、リザッバの方からピシッという音が聞こえ、見ると倒れてるリザッバの近くの地面にヒビができていた。そのまま見ていたらヒビが、どんどん増えていく。…………地面の揺れにヒビ、なるほどね。数瞬後、リザッバの周りにある地面のヒビから汚泥が吹き出してきた。
「ヤート殿……、あの吹き出したものはまさか?」
「うん、カイエリキサさんの想像通りで僕が
「やはり、あのものが私達にケンカを売ってきたものですか……」
カイエリキサさんの言葉に怒りや戦意が現れる。…………みんな戦いたがってるし、早めに準備をしておこう。僕は戻ってきた
「
「ガベッ、ゴブッ、アブッ……ア……ア……」
汚泥に包まれていくリザッバの気持ち良さそうな声は聞きたくないし、リザッバのヘドロと汚泥の臭いが混ざってひどい。できるなら一瞬だって待ちたくないのと相手の準備が整うのを待つのは愚策だから今のうちに高火力の攻撃を叩き込むべきなんだけど、リザッバの今の状態が気持ち悪すぎてその気が無くなる。今までの魔石といい、このリザッバも周りを不快にさせないといけない存在なのかな? 僕がどうでもいい事を考えてるとリザッバの変化が終わったようだ。
「「「ユルサン‼︎ ユルサン‼︎ ユルサンゾー‼︎‼︎」」」
大きな汚泥とヘドロの塊の表面にリザッバの顔が三つ浮かび上がりうるさいほど叫ぶ。みんながあまりのうるささに顔をしかめていると僕達の見ている世界が侵食された。青空は赤黒い液体に変わり地面から汚泥とヘドロが染み出してくる。そして何より息苦しく身体から力が抜けてきた。
「「「キサマラハスリツブス‼︎‼︎ アトカタモノコサン‼︎‼︎ ワガニクタイヲ、ケガシタムクイヲウケロ‼︎‼︎」」」
「…………ふーん、自分で空間を変えれるのか」
「何が起こった⁉︎」
「あいつは自分に有利な空間を造ったみたいだね。たぶんあいつの大声が届いた範囲は変わってると思う」
「力が抜けている……。つまり私達が弱くなるという事。正しくそのものに有利な世界ですね」
「カイエよ、己の状態だけでなく周りを見てみい。敵の数が増えていっておるわ」
相談役のアステロダさんの言う通り、僕達の周りの地面から染み出した汚泥とヘドロがグチャグチャと音を立てながら人型になっていってる。僕達が
「「「ソウダ‼︎‼︎ ワイショウナオマエタチニ、イキノコルスベハナイゾ‼︎」」」
リザッバの大声が響くたびに息苦しさと脱力感が増してくるな。みんなの体調を考えたら、そろそろ攻勢にでないとリザッバの物量で押し切られる可能性がある。…………よし、
「
魔法の発動とともに
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想・評価・レビューもお待ちしています。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます