青の村への旅にて 水と秘めた力
さて、青の村か。父さんやラカムタさんの話だと、対岸に真っ直ぐ行くのに一週間以上かかり湖の周りを一周するのに数週間かかるくらいの、ものすごく大きな湖の湖岸に村があるらしい。前世の日本だと琵琶湖が一番大きな湖だったかな。結局、実際に湖を見る事は無かったから、前世を合わせても生まれて初めてか。うん、本当に楽しみだ。
「楽シソウデスネ」
「生まれて初めて湖を見れるから楽しみ。ディグリも植物だから水の集まる湖を見るのは楽しみじゃないの?」
「ソウデスネ。少シハ楽シミデスガ私ヲ含メテ植物ニトッテハ、コノ
「そういうものなんだ」
「ソウイウモノデス」
植物にもいろいろあるんだなって改めて思った。まあ、僕の感覚が正しければ
「ヤート君、青の村に行くまでの一つ目の中継地点が見えてきたよ」
「中継地点……方向から言って、平地を端から端まで横断してるあのキラキラ光ってる帯の事?」
「そう。あの遠くに見える帯が我ら青の竜人の聖地である「
「え、あの帯って川なの?」
「距離があるから細い帯にしか見えないけど、近くまで行けば大きさを実感できるさ」
「大きい……」
僕は唖然として思わずつぶやいてしまった。それくらい今目の前にある川は対岸が霞むくらい大きく、流れてくる端と流れていく端が霞んで見えないくらい長い。ラカムタさん達も僕と同じような感じだから、僕のこの感覚が間違ってないみたいで良かった。
「ふふふ、驚いてくれて何よりだ」
「父さんから青の村がある湖は、ものすごく大きいって聞いてたけど、こんなに大きな川がいくつも流れ込んでるんだから本当に大きいんだね」
「まあね。下手に湖の中央部に入り込むと、どっちが陸地なのかわからなくなって、死ぬまでさまようくらい
「湖と共に暮らしてる青でも、迷うんだ」
「黒だって
「あー、確かにそうだね。住んでても行けない……は違うな。すぐそばに住んでて、危険だとわかってるから行かないところもあるって事か」
僕がイリュキンの言葉に納得してるとラカムタさんが少し離れたところから声をかけてきた。
「イリュキン!! ヤートは例外だからな!! そこのところは間違えるなよ!!」
……ラカムタさん、僕が
「……ゴホン!! おっと、すまない」
イリュキンが気を使ってくれたのか、咳をして微妙な空気を動かしてくれた。うん、やさしいね。僕も、このまま流れに乗ろう。
「この大河が
「その通り」
「そうか、これなら水がすぐそばにあって、いろいろと安心だ」
「へえ、水を植物から受け取れて食べれる植物をすぐに育てられるヤート君でも、そういう心配はするんだね」
「食料はともかく、使える水があるに越した事はないよ」
「植物と意思を通わせるヤート君だからこその実感か」
僕がイリュキンと話してたら
「
「「…………」」
うん、完全に夢中になって飲んでるね。さすがに心配になったから
「イリュキン、この川の水って魔力含んでる?」
「そうだね。
「ヤート君、それがどうかしたんですか?」
「川の水を飲んでる
「ああ、なるほど、高位の魔獣ともなれば器が強固で巨大だ。きっと、いくらでも川の水に含まれている魔力を吸収できるだろうね」
「しかも、この水は美味しいみたい」
「だから、こんなに夢中になって飲んでるんですね」
「そういうこ……って、リンリー!! いつの間に!?」
イリュキンが驚いてたからリンリーの説明をしておこう。
「リンリーなら
「そうです」
「……気づかなかった」
「それが普通なんですけど、なんでヤート君は私がわかるんですか?」
「同調のおかげかな」
「……次は驚いてもらいます」
「そういう事なら次は私もリンリーを捕捉してみせるさ」
僕の同調とリンリーの気配と姿を消す
「スイマセン。会話ノ邪魔ヲシテシマイマシタ」
「気にしないで。ディグリも川の水を吸収してたんだね」
「ハイ、気ニナリマシテ」
ディグリの足下を見ると地面に埋まっていて、足の形にまとめていた根を解いて土中から染み込んだ川の水を吸収しているようだ。直接川の水に根を浸けて吸収してるわけでもないのにディグリを成長させるこの水はすごいな。…………よし、試してみるか。僕は思いついた事を実験するために
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◎後書き
最後まで読んでいただきありがとうございます。
注意はしていますが誤字・脱字がありましたら教えてもらえるとうれしいです。
感想・評価・レビューなどもお待ちしています。
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