第02話 報告に行こう

「それで、大空そら、この後はどうするの?」

「この後は、とりあえず俺が出発した国に戻って魔王討伐の報告をする予定だけど」

その後は・・・どうしようかな。ま、それはその時に考えればいいか。

「OK、じゃあ行こ」



 静かだ。本当に静かだ。

 なぜこんなに静かかというと、魔物は全部倒してしまって魔物が居なくて、風もほとんど吹かないこの魔王城付近は俺とかれんの足音しかしないからだ。

「そうだ、さっき言ってた【レアスキル】についてもう少し詳しく教えてくれないか」

「え?【感覚同期】のこと?」

「いや、それじゃなくて、レアスキルそのものについて」

「あー、いいよー、でも、私も本で読んだものしか分からないからね」

「ああ」


━━━━━━━━レアスキルとは


 転生、又は転移者には必ず1つ付与される非常に強力で珍しいスキルのこと。


 また、転生、又は転生者以外の、この世界の住人も、ごくごくごく稀にレアスキルを持っているらしい。しかし、それは生まれつき持っているもので、どうにかして習得することはまずできないと考えられている。ただし、それは魔物以外での話。


 魔物達は、知能が人間の10数倍にもなる個体もいて、そのあたりの魔物になると、レアスキルを習得することができる。が、これができる魔物も、人間の10数倍の知能を持っている魔物の中の1%にも満たない。


 1人が複数のレアスキルを習得することは、全歴史を探っても片手で数えれる程しかいない。

 レアスキルは、世界の根本をひっくり返してしまう程強力なものもたくさんある。


 また、同じレアスキルは、そのレアスキルを保有している者が生きている間は他の誰もそのレアスキルを保有している者はいない。


━━━━━━━━


と、まぁレアスキルについてはこんな感じらしい。かれんも本で読んだだけだから、少々違ってる部分はあるかもしれないが。

「そうそう、魔王が、【勇者には5つレアスキルが追加される】って言ってたけど、何か増えた?」

なんだそれ、レアスキル5つって、魔王がチートな世界だったのか。魔王が全快状態だったら絶対勝てないじゃん。

「どうだろう?見てみようか」

「【能力鑑定】」

能力鑑定は、名前の通り、能力を鑑定するものだ。そして、この世界の人はこれを一番最初に習得するらしい。もちろん、このスキルにも、スキルレベルがある。が、スキルレベル1の状態で十分実用的だから、スキルレベルを上げるものはあまりいない。スキルレベル1では、自分のステータスが分かり、敵対する相手の最大体力が分かる。



━━━━━━━━横谷 大空のステータス


横谷 大空


Lv.99



ATK 1090

MP  5000

MAT 2180



年齢 : 18歳


性別 : 男



新規習得スキル



★ 魔法生成 SLv.1 Lv.1【NEW】

★ 魔法付与 SLv.1 Lv.1【NEW】

★ 魔力同期 SLv.1 Lv.1【NEW】

★ 魔力変換 SLv.1 Lv.1【NEW】

★ 時間操作 SLv.1 Lv.1【NEW】



習得済スキル



・=ノーマルスキル

★=レアスキル

☆=レアスキル派生

✪='魔法生成'により生成した魔法

SLv.=スキルレベル

Lv.=レベル

【NEW】=新規習得スキル



★ 情報収集 SLv.6++ Lv.9999

 ☆ 速筆 SLv.1 Lv.1

 ☆ 拡散 SLv.1 Lv.1

 ☆ 複製 SLv.1 Lv.1

・ 能力鑑定 SLv.1 Lv.120

・ 虚実判定 SLv.1 Lv.150


(省略)


★ 魔法生成 SLv.1 Lv.1【NEW】

★ 魔法付与 SLv.1 Lv.1【NEW】

★ 魔力同期 SLv.1 Lv.1【NEW】

★ 魔力変換 SLv.1 Lv.1【NEW】

★ 時間操作 SLv.1 Lv.1【NEW】


━━━━━━━━


「え、ちょっと待って、何このチート級のレアスキル。ほとんど魔法や魔力の根本に関わるやつじゃん。最後の【時間操作】って何???まさか、タイムワープとかできるの?というか、新しく追加されたもの以外にも、俺のスキルってこんなに凄かったんんだ」

今まで何度も能力鑑定を使った時、新規習得スキルはよく見ていたけど、習得済スキルのところは見てなかったからなぁ。

「どうだった?大空のステータスは?」

あっ、そうだ、能力鑑定のスキルレベル1のときは、【能力鑑定】の鑑定結果は、スキル発動者にしか分からなかったんだったね。

「んー、いろいろ凄いから、感覚同期を使って見てみてよ」

「なるほど、それなら発動者にしか見れない鑑定結果も見れるね」



「・・・・・・えっと、これはどういうこと?」

「どういうこと?と言われても、魔王討伐して、もらったスキルだけど、魔王が持っていたスキルおかしいよね」

「それも十分おかしいけど、それじゃなくて、情報収集のSLv.6++でLv.9999ってとこだよ。私の感覚同期はSLv.3+のLv.1059だよ」

「どうしてだろ、俺も分からないけど・・・・・・もしかして、最初の頃、いくらレベル上げやろうとしてもステータスが微量しか上がらなかったのは情報収集のレベルに回っていたからか?」

「よく分かんんない・・・そうだ、情報収集SLv.6++もあるんだったら、自分のスキルの説明も集めれないかな?」

「やってみよう」



・・・・・・

「うーん、分からない」

「そっか・・・」

「あっ、魔法生成でスキル説明を作ってしまえばいいんだ」

「でもどうやって使うか分かるの?新しいスキルだよね」

確かに、どうやって使うんだろ・・・とりあえず、イメージしてみよ。



空中にRPGのメッセージウィンドウみたいなものが出てきて、それでスキル説明をしてくれるみたいな・・・・・・

「ちょっと、大空!光ってる!!」

「え?これって、まさかスキル新規習得時のアレだよね?」

「そうだね」

「え、ってことは魔法生成は成功?」

「そういうことだよね。どうやったの?」

「こんな感じにしたいな〜ってイメージしただけだな」

「使ってみてよ」

よし、じゃあ使ってみるか。・・・あれ?どうやって使うんだ?基本的に使い慣れたもの以外は、スキル名を言うことで、【詠唱省略】のスキルが自動的に作動してスキル(魔法)が発動するけど、名前なんて分かんないぞ、作ったの自分だけどw

・・・あっ、そういや、魔法生成のとき、スキル名を言わなくても発動したよね。イメージしただけで発動したし。今回もそれでいけるかな?



『本魔法は、使用することで魔法の使用方法、効果などの説明を見ることができます。まず、本魔法に名前を付けてください』

「「ん!?」」

2人が同時に言った。

どこから声がしているかわからないけど、2人ともが聞こえたってことは幻聴とかではないだろう。

「どんなのがいいだろう・・・」

「魔法説明書とかは?そのまんまだけどww」

おっ、いいね、それ採用。

「じゃあ、【魔法説明書】で!」

『承知いたしました。では次に初期設定を行ってください』

初期設定?ゲームみたいだな。



「ふぅー、思ったより多かったな」

初期設定内容には、最初にこのスキルを作るときにイメージした《RPGのメッセージウィンドウ》的なものを表示させるか?とか、そのウィンドウを可視できるのは誰にするか?とか音声アナウンスは誰に聞こえるようにするかとか色々あった。

「どんな設定にしたの?」

「えーっと、ざっくりいうと、魔法説明書のメッセージウィンドウと、アナウンスは、俺とかれんとそこの魔法の子どもには聞こえるようにした。けど、アナウンス自体をOFFにしてるから、あんまり関係ないな。それ以外は、内部、システム的なところの設定だった」

あと、発動条件とかあったけど、後回しにした。あとでも設定はできるみたいだから、歩きながらじゃなく、どっかゆっくりできるときにやろう。なので、スキル(魔法)名を言うことによる発動か、なぜかできるイメージによる発動が発動条件になる。

設定は、よくやっていた(日本にいたころ)やつに似ていたから、手慣れた操作でやっていったが、かれんは、そういうのが慣れていないのか、頭に「?」でも浮かんでそうな状態だった。


「【魔法説明書】」

おっ、ウィンドウが出てきた。タッチで選択できるかな。

あ、タッチ操作できた。えーと、とりあえず、魔法生成の説明でも見ようかな。


━━━━━━━━


魔法名 : 魔法生成


 名の通り魔法を生成することができる。最初の5回を除いて、使用後は、2ヶ月【魔法生成】を使うことはできない。また、使用後167時間(7日間)は身動きが取れなくなる。


 尚、上記の制限は、レアスキルクラスの魔法を生成したときのものであり、通常の魔法生成なら、1ヶ月、24時間になる。


━━━━━━━━


 かなり簡単な説明だな。って、そういう設定にしたんだけど。というか、本当に[設定]って、魔法感が全く無いよねwww

「えーっと、魔法生成を使ったあとは1日動けなくなるってことは、私が面倒見るね」

「お願いします」

「なんで敬語?いいよいいよ、気にしなくて」

「とりあえずいくつか作ってみよう」



・・・・・・

 よし、とりあえずいくつかできた。5回ぴったり使ったから、これからは、制限がかかるね。

「何を作ったの?」

「えーっと」


 ・大図書館

 (あらゆる情報を教えてくれる魔法)

 ・空間操作

 (名前の通り)

 ・不可視

 (特定の対象は自分又は魔法付与された人が視界に全く入らない)

 ・気配遮断

 (名前の通り、気配を遮断するもの)


を造った」

なお、(かっこ)の中はイメージしたものだ。

「え、大図書館は、魔法説明書を作る前に作っておけばよかったじゃん」

「まぁ、作ったあとに言われてもね」

「それもそっか」

「そうだ、【空間操作】を使って目的地まで行けない?」

「おっ、いいね、やってみよ」



「【空間操作】」

「おぉ、ドア縁のないどこ○も○アみたいだね」

確かにそうだな。何もなしに空間がそのまま繋がってる。表現は色んな意味で危ないけど気にしたら負けだなこれは。



「到着ー!いやー、長いようで短い道のりだったね」

「そうだな、といっても、空間操作で移動してきた距離のほうが長いけど」

「じゃあ、魔王討伐の報告のために、王城に行こうか」

「りょーかい!って、この子どうするの?」

「んー、一緒に連れていくしかないよね」

「ま、そうだよね」




━━━━━━━━王城へ向かう途中、城下町にて


タタタタタタタタドンッ

「ん?」

なんだ?何かあたってきたような気がすr・・・( 'ω')!?

・・・・・・

えーっと、これは、俺に当たってこけたってことでいいのかな?

そこには、見た感じ、10歳にもなってなさそうな女の子がこけて、今にも泣きそうになっている。

「大丈夫?もし、俺に当たってこけたならごめんよ」

「だ、大丈夫、うっ」

あ、やっぱり怪我してる。

「とりあえず、怪我だけ治しておくね」

擦りむいただけっぽいし、普通の回復魔法で十分だよね。

「あっ、ありがとう!お兄ちゃん、名前、なんて言うの?」

「俺か?俺は大空だよ」

「大空お兄ちゃん、怪我治してくれてありがとう!今は急いでいるけど、このお礼は王家として、また今度するね!」

わお、ちょっと見た目10歳以下とは思えない発言だな。というか「おうけ?」えーっと、まぁ、【王家】の人がこんな町中にいるわけないし、おうけっていう名字とかそんなあたりかな。そしてなにより、ちょっと擦り傷治しただけなのに、そこまでしなくても・・・

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