第51話

センターラインに後藤とハルヒが立った。


「しかし、お前本当でかいな。まだ中学生だろ?まだまだ伸びるなぁ。」

「ありがとうございます。でもジャンプボール苦手で・・・」

「ま、練習だからよ。敵ながらコツ教えてやるよ。

まず相手より早く飛んでボールが頂点に来るときまで空中で待つんだ。」

「ま、待つ!?」

「そうだ、空中で待つ。

ボールが頂点まで来たら、ボールの下をぽんと押すんだ。

もう一度ボールを上にあげる感覚で指でチップする。そんでこうやって、ボールの真下に入るポジションでジャンプする。どうだ?わかったか?」

「ボールを上げる・・・」

「そうだ、こうやって。」

後藤は軽くあげたボールの下を指先でポンとチップした。

「相手より高くとぶ、ボールにさわる、それも大事だけど、そのあとも肝心。」

「自分のチームに、回す。」

「そう、お前は何回も飛んでるからわかるとおもうけど、ただ回すんじゃなくて、

どこにいる誰に渡すかも、これから考えるとちょっと飛ぶのも楽しくなるかもな。」

「誰に回すか。」

「きっとお前のことだから小牧にばっかりだったんだろ?でも今回は小牧がいないぞ。さあ、誰に回す?お前が自分で考えろ。」


誰に渡すか、か。

さっきは全員で守って攻めるって言ってたけど・・・

そしたら必然的にフォワードで先輩の前田さんに、だけど、でも僕なら・・・



ピッー!

ホイッスルがなりシャッフルゲームが始まった。


ボールが飛ぶ。


この人より高く飛ぶ。それだけ。それで、あの人にボールを。


バシッ!


「梅ちゃん!」

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